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2009.09.13 Sunday
湯屋番
文化祭の演劇で思い出した。
落研時代、月例寄席というのをやっていた。 知り合いやファンではなく、素人落語を聞きに来てくれていた人もいた。 特に月例寄席は小さな会場でやるので、常連さんもいた。 ちょうど演劇を見ているぼくと同じように、こいつは前回よりうまくなったとか、相変わらずヘタだとか、言っていたのだろうか。 休み期間と、5月と11月をのけて、年に6回くらいだったかな。 この寄席でネタおろしをすることもあった。 ネタおろしというと、初めてのネタをやること。 そのネタで初舞台ということだ。 忘れられないのは、湯屋番というネタをおろしたとき。 練習のときに先輩がいろんなアイデアを出して、ここはこうしよう、ここの仕草はこうやったらいい…、とかなり斬新な湯屋番になった。 ぼくにしては、なかなかの名作。 しかし、前の人が終わったときに、録音テープ交換をしないと、途中で切れるということになった。(一応、寄席は記録に残していた) 当時、オープンリール(これも死語かもしれない)を使っていて、テープをひっくり返すのに時間がかかるけど、どうしよう…という場面。 ぼくはトリで、最後に時間が空くとせっかくの寄席の雰囲気が台無しになるので、「このまま行こう」と高座に上がった。 そのために、このネタは途中までしか残っていない。 ほんのさわりだけだ。 幻の湯屋番になった。 勘当された若旦那が、番台に座ってみないかと言われ、いそいそと出かける。 おんなゆ、おんなゆ…と言いながら、自然に手をふって飛んで歩く…そんな演出だった。 自分では受けたと思っていても、そうでもなかったかもしれない。 常連さんは、どう思って聞いてくれただろうか。 こいつ、オモロイなあ、と思ってくれたかどうか…。 テープがなくて、わからないからよかったのかもしれない。 |
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