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2008.09.04 Thursday
梅酒
会社に入って最初の10年ほどは出張ばかりしていた。
ほとんどがクルマとフェリーの移動。 出張といっても、社内の一つのグループがまとまって移動するようなものだ。 月に一度は大規模な出張になって、その時は十数名で行く。 行った先では、雑魚寝の場合もある。 いくつかの大部屋があって、一つは麻雀の部屋、一つは飲む部屋、一つはテレビを見る部屋…、そんなふうになる。 Yさんは自分で運転して、自分で酔うことがあるというめずらしい人だった。 「どうも体調が悪い…」と言いながら、おもむろに水筒を出してきて、茶色の液体を飲んでいる。 「それなんですか?」と聞くと、漢方薬だという。 いかにも、漢方薬という感じで、苦い顔で飲んでいた。 ほー、調子が悪いから、漢方薬をやっているんや…。 それから、しばらくして、「あれは梅酒やで」と聞いた。 え、そうやったんか…と飲んでいるときにYさんに聞いたら「バレたか」との返事。 それにしても、みごとにだまされたなあ、と感心した。 あれから、梅酒を飲むたびに、Yさんが水筒からふたのコップに注いでいる姿を思い出す。 今夜も思い出してしまった。 しょうもないことが、むしょうに懐かしい。 |
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