考えたこと2

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匂いの記憶
子どものころ、病気になると家の近所の内科に連れていかれた。

伊藤先生という女医さんで、メガネをかけた、ちょっと厳しそうな先生だった。

ぼくは、お腹が弱かったので、たいがい吐き下しでお世話になったと思う。

当時のお医者さんというと、聴診器、触診、そして注射だった。

注射器は、消毒用のガーゼ、ガラス製のアンプルなどとセットで、ちょっとソラマメをゆがめたようなカタチの、きれいな銀色のお皿の上に載っていた。
注射器はもちろんガラス製だった。
今のようにモノがあふれている時代ではなかったから、ディスポーザルのものなどなかった。
たいがいのものはガラス製で、銀色の四角形の鍋のような、消毒する機械の中に入れてあった。
何でも消毒していたのか、お医者さんというと、待合室に入ったとたん、消毒液の匂いがした。
あの匂いと伊藤医院の情景はセットになっている。

今は安全のために、注射器は使い捨てになった。
しかし、昭和30年代、40年代はガラスの注射器を消毒して使っていた時代だった。
あのころ、たくさんの人が肝炎や血液からかかる感染したのだろうか…。

疫学や病理学、細菌学などという学問がある。
こうすれば、病気感染が防げるという知識があって、あの消毒液の匂いや銀色の消毒器があったのだろう。

それでは不充分ということだったのか、それとも患者の数が増えていちいち消毒していられないということだったのか、それともミスを防止するためか…で、ほとんどの機器がディスポーザルになった。
それとともに、医院の消毒液の匂いも、ほとんどなくなったのだと思う。

あの匂いをかぐと、病気と、注射と、診察室、銀色のお皿を思い出す。

そして、あの匂いには何ともいえない安心感があったように思う。



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