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2008.06.07 Saturday
煙が目にしみる
原題は"Smoke gets in your eyes"。
プラターズという黒人のグループが昔歌っていた。 スタンダードナンバーの一つ。 どこでこの曲を覚えたのか、あまり記憶がない。 二十歳過ぎには知っていた。 ゆっくりしたバラードで、「煙が目にしみる」という邦題と、"Smoke gets in your eyes"という原題がよく合っている。 原題よりも邦題の方がいい、という名曲。何度かここにも書いたかな…。 この曲が記憶に残っているのには理由がある。 働きはじめて2年目くらいだったか…。 先輩のNさんが、三宮の「会員制クラブ」に連れていってくれた時に、リクエストした曲。 そこは、シックな扉に「当店は会員制です」というプレートがあった。 「え、こんな店に入るんですか?」と思わず聞いてしまったが、「そんなたいしたトコとちゃうネン」と言いながら扉を開けて入った。 小さな店だったが、グランドピアノが置いてあって、その回りがカウンターになっていた。 Nさんは馴染みの客らしく、お店の人と親しげに話をして、おもむろにカウンターに座った。 緊張しながら、ぼくも座って、水割りをもらった。 グランドピアノの回りのカウンターで、ウイスキーを飲みながら、弾き語りを聴く時が、自分の人生に急に訪れるとは…という驚きがあった。 ピアノを弾きながら歌っていたのは、当時ぼくよりも少し年上の女性。 Nさんは、この人とも親しげに話をしていた。 「何でも言うたら、歌ってくれるデ」と言われ、その時に頭に浮かんだのが「煙が目にしみる」だった。 「煙が目にしみるをお願いします」 とおずおずと言った、その瞬間をよく覚えている。 残念ながら、「その曲は知りません…」と言われ、聞くことはできなかったのだが、その時以来忘れられない曲になった。 その店には、その時一度だけだった。 けっこう高い店だったと思う。 後で知ったのだが、この「煙」というのは、タバコの煙かと思っていたが、それはマチガイ。 恋の炎が消えたあとの煙…という意味あい。 いい歌です。 |
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