![]() |
2008.05.16 Friday
クルマの表情
モノを擬人化するということをよくやる。
パソコンのデスクトップのように、自分用に画像を変えたりできるものは、自分の分身のように感じることもある。 動作が遅いと「今日は機嫌が悪い」とか、調子が良くないときに誰かに見てもらって直ったら「あの人の言うことはよく聞くなあ」とか…まるで人間のように扱う。 クルマというのも、そんな思いで見ることがある。 フランスのプジョーはだいたいそうなのだが、吊り目で、何となく怒っているような表情に見える「顔」をしている。 今日走っていたら、三菱のギャランが前にいて、このクルマのリアランプがすごい吊り目スタイルだった。 後ろを走っていると、何となく、怒られているような気になる。 この手の後ろ姿はめずらしい。 表情を決めるのは、ライトの形だろう。 昔のクルマは、おっとりした顔をしていたが、それはヘッドライトが丸かったのが大きな要因だと思う。 ライトはランプを反射させるために、凹面鏡の中で光っている。当時の技術ではランプの光量と凹面鏡の反射効率からして、大きな丸いライトしか使えなかったのだと思う。 それがハロゲンやディスチャージドというような光量の大きなランプができて、さらに曲面の加工精度も上がり、プラスチックの成型の技術も進んで、形の自由度が増えたのだろう。 空気抵抗を考えると、流線型のボディになるし、出っ張りを減らすためには曲面を使った異形のデザインになる。 そうなると、表情としてはロイド眼鏡から、サングラスに変わったような変化になる。 今はほとんどのクルマがボディと連続曲面を作るような、シャープな形のヘッドランプになった。 それに伴って、表情のバリエーションが増えた。 怒っている顔、気取った顔、精悍な顔、おっとりした顔…、中にはハ虫類みたいな顔もある。 でも、今日のギャラン、リアランプであんなに怒っているのもめずらしい。 デザイナーは何を訴えたかったのだろうか…。 今や自転車のランプはLEDになってきている。 そのうちクルマのランプもLEDの多灯式になるのだろう。 そうなると、もっとデザインの自由度が上がる。 もっと平べったい顔のクルマも出てくるだろうし、どこがランプかわからない…といようなクルマも出てくるだろう。 もう、ロイド眼鏡には戻らないだろう。 でも、今朝はあの丸い目が懐かしい…と思った。 |
![]() |