考えたこと2

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正月の読書
この休みに本を3冊読んだ。

2冊は高島俊夫の本。「座右の名文」と「漢字と日本人」いずれも文春新書。

「座右の名文」は高島さんが名文家だと思っている人たちの思想と文章を紹介したもの。

新井白石、本居宣長、寺田寅彦、夏目漱石、森鴎外、斎藤茂吉…、いずれも歴史か国語で習った人たち。
森鴎外の項が一番面白かった。
それぞれの文章家に対して語られる作者の評が面白い。

「漢字と日本人」は素晴らしい本。

日本語が豊かな語彙を持つ前に、中国から渡ってきた文字を使って表記を始めた日本語というものの本質が誰にでもわかるように説明される。
特に明治以降、西洋の概念をどんどん漢字で作ってしまったため、今の日本人は話す「音」をいったん漢字に置き換えないと意味がわからなくなってしまっているという状態の説明は圧巻だ。
「お言葉ですが」のシリーズでも、何度も語られているが、今の活字の制限状態はオカシイという指摘は正しい。
それとともに、今の日本語で「書く」時には、できるだけかなを使って書こう、という姿勢も納得できる。
「言葉というものは、それによって世界の認識を切り取るもの」…そのとおりだと思う。
今は目が悪くなって、執筆もできない状態のようだが、中国語、英語を例に引きながら丁寧に書かれた日本語の「文字」と「言語」についての説明は、この人でなければ書けなかったものだと思う。

もう1冊は「その数学が戦略を決める」イアン・エアーズ。

どんどん情報がデジタル化されて、いかに専門家といわれる人たちの判断がいい加減で、データーに基づく判断の方が正しいかということが、これでもかと語られる。
筆者は計量経済学の専門家。
大量の数字を扱う環境が整い、なぜアマゾンで本を買ったら、その人にとってのオススメ本が瞬時に紹介されるのかなどの技術についても言及される。
スポーツ、ワインの出来、医療、結婚、犯罪の再犯率などの政策分野など、統計データーの活用範囲は広がるばかり。
映画の脚本さえ、どうしたら当たるのかという予測が成り立つ現代。
今のアメリカの状況がよくわかる。
最後の章で、簡単な統計の知識についても紹介されている。
ギガからテラ、そしてペタという大量のデーターが簡単に扱えるようになったということが、これほどまでに世の中を変えていくのかということと、それに対する人間の拒否反応が対照的で面白い。
犯罪についても、アメリカでは顔の認識ソフトを使って、免許証の写真データーベースから容疑者をマッチさせるということすらやっているらしい。
特に政策分野での統計の活用という面で、日本が圧倒的に遅れていることがよくわかった。
もともとデーターがないのだ。
クルマを安全に作るためには事故のデーターが必要だが、そのデーターは国内にはほとんどなく、日本の自動車メーカーは海外のデーターを使っているという話を聞いたことがある。
東洋人は分析が不得意なのかもしれない…と本気で思った。

明日から仕事。

今年は年初からいい本に出会えてよかった。




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