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2007.12.02 Sunday
大事なことは些細なこと
NHKの朝のドラマで、主人公が落語家の内弟子修行をやっている。
内弟子修行とは、弟子として認められ入門した者が、師匠の家に住み込んで、家事や師匠の仕事の付き人をやるという仕組み。 落語の稽古をつけてもらうために内弟子になった主人公だが、洗濯、炊事、掃除などの家事一切をやらされ、憤懣やるかたない。不器用なので、上手に家事をこなして、稽古をしてもらう時間を作ることすらできないのだ。 窓ふきをしながら、兄弟子にそれを言ったところ、兄弟子はこんな事を言う。 あんたは、落語がやりたいのか、それとも落語家になりたいのか? 趣味で落語をやりたいのなら、自分がなんぼでも教えてやる。 でも、落語家になりたいのなら、掃除や洗濯がちゃんとできないとダメだ。 落語家というのは、人を気持ちよくさせる商売だから、掃除や洗濯を通じて人を気持ちよくさせるということができないと、なることはできない。 また、主人公は師匠が入れてくれたお茶がおいしかったということを、フリーライターの女性に話す。 自分と同じお茶の葉を使って、同じように淹れているのに、師匠さんが淹れてくれたお茶はおいしかった…。 それは、あんたが熱いお茶が飲みたい、と思っている時に師匠が淹れてくれたからおいしかったんよ。 どの世界でも、入った時は雑用をやらされるけど、それは相手のことを考えて仕事ができるように…ということでやってるんやと思う。落語家もおんなじやね…。 新聞に出たり、ニュースに出たり…世の中を変えるような大きな仕事ができる人がいる。 でも、世の中はそんな大きな仕事で成り立っているのではない。 もっと些細な仕事で成り立っているのだ。 一緒に働く人と能率良く、そして気持ちよく仕事ができるようにお互いに気配りすること。 掃除をしたり、お茶を淹れたり、相手の状況を見て自分のできることを探したり、逆に頼んだり…。 そんな気配りで世の中がうまくいっている。 それを学ぶのが、落語家の内弟子。 教科書などない。これは暮らしの中でしか学べない…ということだろう。 世の中を支えている「些細な仕事」は、学校では学べないのだ。 ドラマを見ていて、入社した時に実験室の掃除をしたり、片づけをやっていたことを思い出した。 大事なことは些細なことだ。 それができるようになるということが、社会人になるということだろう。 |
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