![]() |
2007.11.19 Monday
高座
このところ、落語の話が続く。
土曜日の「ちりとてちん」を見て、思わずもらい泣きしてしまった。 落語といえば、高座。今朝のテレビを見て思いだした。 座布団一枚。噺によっては見台(けんだい)を置く。 めくりがめくられると、演者の名前が出てきて、出囃子が鳴る。 舞台袖下手から出ていって、座布団に座る。そこが高座である。 今朝のドラマは、事情があって3年前に落語をやめた師匠が、居酒屋を借りて開いた弟子たちの落語会を見て、トリで高座に戻るという場面だった。 落語会に行くまいとしていた師匠を、ふだんは優しい和久井映見が演じる主人公のお母さんが、机をたたいて怒って無理やり連れて行く。 数十人のお客さんと一緒に、師匠が弟子たちの落語を見る。 三年間離れていた弟子たち。そのうち二人は落語をやめて別の仕事に就いていた。 彼らの成長を見る師匠。 途中で泣いてしまって、落語にならなかった息子の高座を継いで、師匠がじっと高座を見る。 赤い毛氈の上にちょこんとのった座布団。 あの座布団に座ったら、やるしかない。 渡瀬恒彦演じる師匠が高座の座布団をじっと見つめる…。 心を決めて、高座に上がるところが泣かせるのだ。 深々とお辞儀をする。間をおいて拍手。 弟子たちが見守るなか、師匠がはなしはじめる。 「三年前に道に迷って、やっとここにたどり着きました。お客さんを気持ちようおかえしするのがトリのつとめでございます…」 小さな居酒屋にしつらえた高座だが、お客さんが数十人だろうと、数百人だろうと、そんなことは関係ない。 あの、座布団に座ったら、やるしかない。 赤い毛氈の上にのった座布団を見て、落語をやっていた頃を思い出してしまった。 |
![]() |