考えたこと2

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一人旅
どういうことか、明日から一人旅をする。

仕事の出張ではなく、自分で行く一人旅というのは、初めてだ。

行き先は鹿児島である。

2年少し前に、すごく懇意だった職場の先輩が急に亡くなり、その方のお墓参りが目的だ。

Sさんは、僕が会社に入った時に同じ部署の先輩だった。
大学時代に落語しかしていなかった僕のことを、なぜかデキるヤツが新入社員でやってきた…と思っておられて、色々と振動・騒音のことを教えてくれた。
すぐに化けの皮ははがれ、あまりの無知さに驚かれたのをよく覚えている。

「君なあ、天下の○○大学の工学部を出てるんやろう…。」
「すみません。落研しかしてなかったので…。」

という会話は今でもハッキリと覚えている。

それでも、親切に色々と教えてもらった。
僕がその後の仕事がマジメに(?)できたのは、Sさんに教えてもらったことが大きいと思う。

鳥は、生まれてすぐに見たものを親だと思う…という。
ちょっとたとえが悪いが、会社生活も似たところがある。最初に配属された部署の先輩や課長というのは、すごくその後に影響を与えるものだ。
その意味で、僕はラッキーだった。

その当時、僕は実験をやっていた。
扱う機器はいずれもビックリするような値段のものばかりだった。
10万円を越えるような機器を無造作に触っていたのだ。
Sさんは、もの知らずの僕のために、これは○万円、こちらが○万円…と値段を教えてくれた。
そのたびに、ひぇーと声を上げた。

仕事を始めて数ヶ月した頃、ちょうど仕事に慣れて、やることが雑になってきた頃だった。
会社の機材を壊してしまった事がある。
僕の扱いが雑だったために、機材のメーターを被っているガラスの部分を割ってしまったのだ。

少し青ざめて、実験室からSさんに電話をして来てもらった。

「スミマセン…」
「形あるものは、いずれ壊れるんや。」

それがSさんの口から出た言葉だった。

結局はSさんが伝票を書いて、買い換えてくれた。

その後、どうしようもない場合を除いて、機材を壊した覚えはない。
あの一言は、ありがたかった。

僕が年を重ねて部下ができて、何かを壊してしまった時、僕もSさんと同じように言っていた。

Sさんは、関西の人ではなく、ちょっとなまった関西弁だった。その、少しおかしな関西アクセントで言われた「形あるものは、いずれ壊れるんや。」という言葉は、一生耳に残る言葉になった。

僕の会社生活では一番親身なつき合いをした人だったと思う。

急に亡くなられたので、実際に亡くなったという感覚はなかった。
それが、少し前に親族の方から形見分けの電話があって、その時に初めて涙が出た。

それでやっと、ああ、やっぱり亡くなったんだと思えた。
だから、お墓参りに行くことにしたのだ。

そんなわけで、明日は鹿児島に行く。
この旅の価値がどんなものなのか…、それはまだわからない。

お墓の前に立って、お参りした時にそれはわかるのかもしれない。

ということで、明日は鹿児島です。


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