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2006.06.19 Monday
不思議なくだもの
ずっと前に、英語がカタコトのフランス人とクルマの中で話していた時のこと。
その日は暑い日で、眠かった。田舎道を走っていて、休憩に止まった時に、あまりに眠いので、話し始めたことを覚えている。 もう20年前になるのか…。彼も僕も20代だった。 好きなくだものは何か?ということになった。イチゴや、リンゴなどの話しが出たあと、彼は「おお、これを忘れていた」というような感じで、フランスでは「ルモーン」というくだものをよく食べる、という。 ふーん、それはどんなものか?と聞くと、ゲンコツくらいの大きさで、直接食べるというよりも、料理に使ったりする、というような事を言った(と思う)。 料理に使うくだもの?ゲンコツの大きさ?…それは日本にはない、というと、ヨーロッパでは大変有名で、よく見かけるのだ、という。 彼は話していてもどかしくなったらしく、色々と言うのだが、何せお互いにカタコトゆえ、なかなか通じない。 どうも、色はイエローという事なので、ひょっとしたら黄色いピーマンか?それなら日本ではあまり食べない、と言おうとしたが、ピーマンが通じない。ピーマンは英語ではないのか…と思い、こちらも必死になってピーマンの説明を始めた。 彼は、日本にもあるのではないか…ということを言うので、フランス語で「ルモーン」というようなものか?と聞くと、英語で「ルモーン」だという。 うーん、それはないなあ、というと、けげんな顔をした。 思いついて、ルモーン…ちょっと、書いてみて、というと、Lemonと書いた。 なんや、レモンか!というと、「ウィ、ルモーン」。 よく考えたら、Leはフランス語で「ル」と発音するので、彼はレモンの事をルモーンと言っていたらしい。 あ、レモン、レモン、それなら日本でもよく見る!というと、やっと安心したらしく、Yes, Yesと言っていた。 あれは、ちょうど、アルゼンチンでワールドカップが開かれた年だった。 なつかしい。 もしも、あの時、メモに書いてもらわなかったら、「ルモーン」という不思議なくだものがフランスにはあるのだ、と思いこんでしまうところだった。 夏の暑い昼下がり、クルマの中で「ルモーン」の話をした、あの時の彼は今ごろどうしているんだろう。 ワールドカップで、思い出した。 やっぱり紙とペンはいつも持っていないといけない…ということです。 |
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