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2005.08.12 Friday
主観的価値
今日は学生時代の友達のI君に会った。
I君とは、下宿に入りびたりで、文字通り同じ釜の飯を食った仲間である。 3年間ほどのつき合いだったが、本当に多くの時間を過ごした。 その彼が、色々と事情があって、自分の本を売らなければならなくなったとのこと。 置き場所の問題である。 本の好きなやつなので、きっと、売る本を段ボールに入れる時には、色々な思いがあっただろうな、と想像する。 選別作業は、事務的には行えないだろう。 売る方にいったん入れた本を、戻してみたり・・・そんな事があったハズだ。 その思いが詰まった段ボール箱をいくつか持って、ブックオフに売りに行ったらしい。 彼が言うには、買い取り価格のマニュアルがあって、何年か以上前の本は安くなるのではないかとのこと。 結局彼の段ボール何箱かの本は1冊5円になってしまった。(ほとんどが10年以上前の本だったらしい) その時一緒に、彼の息子が持っていった、新しいマンガの単行本はなんと1冊400円で買い取りとのこと。 息子には、「お父さんの本80冊で、ボクのマンガ1冊と同じか」と言われたらしい。 「聞いてくれるか?オレの本80冊でマンガ1冊と同じやで・・」ということになった。 彼の複雑な気持ちはよく分かる。 ほこりだらけになっていたり、ちょっとページが茶色になっていたり、折り目がついていたり、少し破れていたり・・・いろんな不具合があったんだろう。 客観的にみれば、古いものは古いし、キタナイものはキタナイのだ。 よほどの希少価値がない限り、時間的な劣化は、モノの価値を下げる・・・これは仕方ないことだ。 新しいマンガは、高くても買い手がつくだろう。だから400円でも買い取れる・・・これも当たり前か。 でも、彼の持っていた主観的な価値は、「そんなアホなことないやろ」と言いたかったんだろう。 自分が読んで、知識を得たり、感動したり、あるいはその本の背表紙を見るだけで、その時代を思い出すような、そんな主観的な価値があった。 悲しいことだが、その価値は、持ち主にしかわからない。主観的な価値だから。 「ふ〜ん、そうやったんか」と話を聞きながら、いつか僕も同じような思いをするんだろうな、と思った。 置き場所の問題だ。 でも、聞いておいて良かった。少しは心の準備ができたから。 持つべきものは友、こんな時に使うと失礼か・・・。 |
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