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2021.10.20 Wednesday
歌は世につれ
「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉、調べてみると「ことわざ」だという。
誰が言ったかと言うと、これも諸説あるようだが「玉置宏」ということらしい。(宮田輝という説もある)。 これは、どちらかというと歌の紹介ナレーションから派生した常套句であり、人生の教えを示すようなものではない。 まだまだ歴史も浅い。 だから、「ことわざ」というのはどうかと思う。 それはさておき、玉置宏というと、昭和の歌謡曲番組の名司会。 関東でディスクジョッキーもやっていたらしいが、関西のぼくらはほとんど知らない。 テレビの人だ。 ロッテ歌のアルバム、というアイドル歌手の番組で司会をしていた。 この頃は、アイドルといっても、今でいうJ-Popと演歌が混じっている。 森進一と結婚していた森昌子は演歌歌手だった(森昌子をアイドルというかどうかは微妙だが)。 石川さゆりはきっと出ていただろう。 「一週間のご無沙汰でした」というセリフは有名。 毎回これで始まっていたらしい。 昔の歌謡曲は「歌は世につれ、世は歌につれ」という感じの歌だった。 歌謡曲の時代は、みんなが同じ歌を口ずさめた時代。 今のオールドマスメディアしか歌を伝える手段がなかった。 歌い手はレコード会社に所属して、スタジオで録音しないと歌が吹き込めなかったし、そもそも曲を作って発表できるのは有名な作曲家や作詞家だけだった。 そしてレコードやCDを量産できるのはレコード会社だけだった。 だから、今で言うメジャーレーベルでないと、歌が発表できなかった。 そして、それを伝えることができるのはテレビやラジオ、雑誌だけだった。 だから、そんなに多くの歌は流行らなかった。 それが歌謡曲だ。 だから、レコード大賞や紅白歌合戦が国民的行事だった。 レコード大賞や紅白歌合戦で歌われるような歌は、国民の多くが知っていて、口ずさめる曲だった。 みんなが共通して歌を知っていた時代だ。 今は誰もがコンピューターとスマホがあれば、曲が作れて、録音できて、インターネットで即座に世界に対して発表できる時代。 才能さえあれば、打ち込んだり録音したりできる。 だれもが時代を代表する歌を知っていた時代から、誰もが自分の好きな歌を探せる時代になった。 失ったものは大きいが、得たものはもっと大きいのだろう。 文字通り、「歌は世につれ、世は歌につれ」だ。 |
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