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2016.04.22 Friday
新米刑事モース
コリン・デクスターの小説に、モース刑事というシリーズがある。
イギリスのテレビシリーズでやっていた。 シャーロック・ホームズをおさえて、ミステリの主役で1位をとったこともあるらしい。 そのモースの若いころを舞台にした「新米刑事モース」というシリーズがある。 舞台は大学の街、オックスフォード。 これを主演しているのが、ショーン・エヴァンスという俳優。 オックスフォード大学で文学を学んだというインテリの役だ。 みるからにそういう風貌。 そんなに人付き合いがうまくなく、クラシック音楽を聞きながら本を読むのが好きという感じ。 だいたい、イギリス人の好むのはハードボイルドではなく、知性派のような気がする。 お国柄というところか。 コリン・デクスターは1冊しか読んだ記憶がないが、この新米刑事モースというのは面白い。 肉体派の警察の中で、一人知性派で捜査する。 みんなが無視するような証拠に意味を見出し、犯人に迫る。 その才能を見出したのが、サーズディ警部補。 書きたかったのは、このサーズディ警部補のランチのことだ。 奥さんが毎日お弁当のサンドイッチを作る。 大柄のサーズディにしては小さな紙包み。 それをコートのポケットに入れて出勤する。 日本人のランチの感覚からしたら、少なすぎると思うのだが、イギリスでは普通なんだろう。 そのサンドイッチの中身は曜日によって決まっていた。 サーズディはそれが覚えられず、いつも「今日は何かな」と言いながら包みを開ける。 横からモースが、「今日は月曜日だからハムとレタスです」、という具合。 毎回必ずそういうシーンがでてくる。 もちろん、脚本がそうなっているから、そういうのだが、そういう日常があるということだ。 サーズディの奥さんは計算して月曜から金曜までのローテーションを組んで作っているんだろう。 それがなんとも微笑ましい。 重苦しいオックスフォードの町並みで、毎回重苦しい殺人事件が起こるのだが、そのシーンになると笑ってしまう。 サーズディ警部補が、紙包みを出して「何かな」というと、すぐにモースが「今日は月曜日だから・・」と突っ込む。 最初は何ということなく見ていたが、2作、3作と続くと面白くなる。 回を重ねるうちに、サーズデイがサンドイッチをじっと見て「ほんとやな」という顔をする。 シリーズ物はそういう小ネタが面白い。 イギリスらしいネタだ。 これを毎回さり気なく繰り返すところが、ホントのユーモアなんだろう。 実はそこが一番気に入っている。 |
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