考えたこと2

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インターネットの「中抜き」
インターネットはいろんなビジネスを変えていっているが、その本質は「中抜き」ということにあるのではないか、という。

既存の書店がどんどんアマゾンにやられて閉店した。
今までは本がユーザーの手に入るまでに何段階かの業者がいたのに、それを直接ユーザーに届けるというインターネットの仕組みをアマゾンが開発し、本のようにどこで買っても同じものはその中間業者が苦しくなった、ということだ。
インターネットを使って、仕組みを作ったところが勝ちということだろう。
アマゾンの場合は、注文された本を大きな倉庫からすぐに発送するという仕組みも含まれているから、なかなかマネができない。
ちょっとでも人手を減らすために、倉庫内はロボットが走り回っていると聞く。
送料は従来の中間業者のマージンの範囲内であれば、赤字にはならない。
それどころか、本を買う人にとっては店に行く手間、探す手間が省ける。
どの程度正確かはわからないが、その本を読んだ人の点数や感想も見られて、その本を買うかどうか、という参考にもなる。
結局、生鮮食料品のように鮮度が問題になるものや、見てから買う、ということが絶対でなければ、なかなかアマゾンに勝てない。
今や、店舗で見て、アマゾンで注文するというパターンもある。

Uberといサービスは移動したい人と、自家用車が空いている人を結びつける仕組みを作り、既存のタクシー業界を恐れさせている。
これはインターネットだけでなくスマートフォンとGPS、地図情報、クレジットカードというインフラが整ったからできるサービス。
アメリカではかなりの勢いで伸びているらしい。
シェアリング・エコノミーという言葉もできて、空いている人と車を有効利用する、という合理性もある。
乗った人、乗せた人が相互に評価をする仕組みも入って、安全性も担保されている。

Airbnbは民泊だ。空いている部屋を有効利用したい、という人と安く泊まりたいという人を結びつけた。
ホテルや旅館業界からは規制逃れという声も上がっているが、海外では市民権を得ているところもあるらしい。
今までホテルや旅館という、外から来た人を泊めるという施設業者を、空いている部屋を有効利用したいという人に置き換えたという意味で、既存の業者をすっ飛ばすという中抜きが起こっている。

服のように嗜好性の強いものは、作るところから売るところまで一貫でやるところが強くなった。
これはユニクロだ。
もちろん、通販もやっているが、店舗も強い。
垂直統合という、製造・販売を一括でやることで、従来いた中間卸業者を排除し、コストを下げた。
インターネットの利用ではないが、そういう意味の中抜きが起こっている。
おまけに、素材の共同研究までやることで、付加価値もあげた。
ファストファッションと呼ばれ、手軽な服という評価を受けているが、実際ワールドやオンワードなどアパレルの老舗が苦しくなり、リストラを行っているのはユニクロなどが出てきたからだと思う。
最初こそ、中国製ということで「安かろう悪かろう」ということを言われたが、もうそんなことは言われない。
もはや日本ではほとんどのものが中国や東南アジア製になりつつある。

1990年当時、旅行業界はJTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行、阪急交通社が4大大手だったが、今はそこにインターネットの旅行業者である楽天トラベルが入り、格安航空券で力をつけたHISが名を連ねている。
インターネット以前と以降で、大手業者が変わったというサービス業はたくさんあるのではないか。

銀行だって、安閑としていられない。
Kickstarterというようなクラウドファンディングが出てきた。
こういう商品を作りたい、というのをページにアップすると、それなら出資してもいい、という人がどんどん出資を申し出ることができる仕組みを作った。
ある金額に達すると、それは商品化できて、出資者たちは新製品を安く手に入れることができる。
これは銀行というお金を預かって、投資するという融資の機能を、インターネットを使っていきなり個人ができる、という仕組みだ。
これを使えば、海外にも個人で投資ができる。
逆に言うと、融資を受けたい人が、不特定多数の個人とつながることができるのだ。
これがどんどん発展すれば、銀行の融資はいらなくなり、カード会社だけあればいい、ということになる。

そんな風にどんどん中抜きが起こっていったらどうなるんだろう。
今のインターネットの仕組みで儲けている企業は、インフラさえ整っていれば、簡単に海を超えることができる。
法律の問題は大きい。
Uberは日本では白タクにあたると言われてサービスができない。
課税の問題もある。

でも今、アメリカ景気がいいのは、そういう仕組みを考えた企業を育てようとしているからだと思う。
アメリカの強さはそういうチャレンジ精神を尊ぶところにある。
日本は規制緩和といいながら、いっこうにそういうところが見えない。

処方薬の通販すら実現しない。
医療費がこれだけ高いというのに、規制緩和してネット通販もOKにすればいいのに、それができない。
処方箋が出ているのに、である。
既得権を持った団体が反対しているからだという。

明治維新はそれまでの既得権をほとんど取り去って、成功した。
戦後の復興も、GHQが財閥解体を実行してその後の発展の基礎を作った。

阿部首相の第三の矢はどこに行ったのか。
景気回復には、痛みが伴う部分もあるだろう。

既得権を守るばかりでは、回復しないと思う。


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