考えたこと2

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入試の季節
1月〜3月は入試の季節だった。

過去形で「だった」というのは、大学入試は今や夏休みから始まるからだ。
だから、1月〜3月だけが入試の季節というのは過去の話。

夏休みには、オープンキャンパスというのがある。
それに行かないと、AO入試に出願できない場合がある。
だから、入試の始まりは夏休みということになる。

試験自体はAO入試がだいたい10月〜11月、推薦入試が11月〜12月という感じだ。
したがって、実際の入試は10月に始まり、3月に終わる。
昔は1月、2月、3月あたりが忙しかったのだが、今や年間の半分が入試の時期。
大学側としては、オープンキャンパスの運営も入れると、年のうち半分以上が入試で忙しくなる。

ベネッセのマナビジョンというページによると、推薦・AOには4つの種類があるという。

公募一般推薦:評定平均値が出願条件になる場合が多いため、評定平均値を少しでも高めておくことを心がけます。また面接や小論文などにも十分な対策が必要です。国公立大の場合はセンター試験が課される場合もあります。志望大の出願条件や試験内容を早めにリサーチし、準備を進めておきましょう。

公募特別推薦:スポーツや文化活動、個性が評価される公募制特別推薦では、部活動や学校行事、ボランティア活動など、学業以外で子どもが取り組んできた内容が評価の対象になります。公募制特別推薦をめざす場合、課外活動を保護者もサポートし、推薦入試の際にアピールできる実績と自信を持たせることが大切です。

指定校推薦:1高校につき推薦枠が数名しかない指定校制推薦。希望者多数の場合は評定平均値のほか、部活動、生活態度などの総合的観点から校内選抜が行われます。そこで、「遅刻をしない」「課題を期限内に出す」など基本的なことは徹底させましょう。また、毎回の定期テスト対策には力を入れるよう助言を。

AO入試:様々な視点から大学にふさわしい人物をじっくり選出するAO入試では、大学ごとに選抜方法や時期が大きく異なります(出願受付は8月1日以降)。早いところでは高3・春からエントリー受付の場合もあるため、志望大のAO入試の時期について高2のうちから調べておきましょう。また、志望動機について深く問われる傾向があるので、その大学・学部について深く知る努力が必要です。

これらが年内に行われる、親の世代にはなかった入試である。
だから、1月からの一般入試も様変わりした。(一般入試という言葉も推薦、AOと区別するためにできた言葉だと思う。昔は入試と言えば、一般入試のことだった。)
昭和50年代当時よりも大学は増え、入試を受ける人は増えたが、一校あたりの一般入試受験人数はさほど増えていないだろう。

文科省の資料によると、AO入試は2000年には75校で実施され、合格者は約8700人だったのが、2012年になると532校が採用し、なんと約52000人が合格している。
ここ10年ほどでいかに一般的になったかがわかるだろう。

一方、推薦入試であるが、これは従来からあった。
ただ、昭和の時代は本当に優秀な学生だけを推薦する、というもので、今のようにたくさん受験者はいなかった。
現在は推薦入試で入学する学生が21万人もいる。
だいたい毎年の入学者数は60万人だから、AOと推薦を合わせると26万人、4割強になる。

結局、一般入試で入る学生の割合はだいたい6割弱。もちろん、国立は6割より多く、私立は少ない。
一般入試入学者の割合が3割を切っているのは、当然下位の私学が多い。試験をやっても志願者が集まらないからだ。そんな大学が全部で114校あり、私立全体の35%に当たる。定員割れを起こしている私学が4割だから、だいたい一致する。

大学には推薦入学比率が半分以下という文科省の通達がある。
しかし、苦しい大学は一般入試を待たずに定員をできるだけ確保したい。
そこで考えられたのがAO入試の多用。
推薦入試は11月以降でないとできないが、AO入試は一般入試にカウントされるのでいつやってもいい。
もしもAO入試を11月以降にすべし、という通達が出れば、AOをやる学校は激減するだろう。

断っておくが、AO入試はマジメにやれば最も手がかかって、最もいい学生が選抜できる入試だ。
慶応が最初にやったAO入試は、そうだった。
AOとはAdmission Officeのこと。要は入試担当が手間ひまかけて選抜する、アメリカ方式。
一発の試験ではなく、高校の成績や活動の履歴などを評価し、論文を書かせ、面接をして人選する。
場合によってはセンター試験で何点以上というようなことを課す大学もある。
でも、その入試方式を一部の大学が悪用して、学生を早めに確保している、ということだ。

世の中の高校生で、受験勉強が好きという生徒はほとんどいない。
自分の希望やプライド、回りのプレッシャーなど、いろんなものを気にしないといけないし、この年になっても、もう一度経験したいとは思わない。
だから、早く終わらせたいと思う気持ちは自然なものだ。
そこに、大学がAO入試や推薦入試というエサをぶら下げる。
一部の高校の進路指導の先生も、勉強がシンドイ生徒は早く決めさせようと考える。

今の親の世代はこういう複雑な入試事情を経験していない。
だから、子どもが高校で指導を受けてきたら、それでいいと思ってしまうのだろう。
選り好みさえしなければ、そうやって大学に入ることはできる。

しかし、本当にそれでいいのか。

そういうシステムが、「9-3÷(1/3)+1=?」という問題で、たった4割しか正答しないという社会人を生み出している。


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