考えたこと2

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二乗と自乗
美術の先生を思い出したら、数学の先生も思い出した。

S先生という、大きなメガネをかけた、スポーツ刈りの先生だった。
この先生は今なら暴力教師と言われているだろうなあ。

普段はそう暴力的ではないのだが、何かこだわりがあって、べき乗を習ったときに誰かが「2乗」を「自乗」と言ったら、スイッチが入って猛烈に怒られた。
何か悪い思い出でもあったかもしれない、というくらい強烈だった。

この先生の名物は、サンドイッチといって、両手でいっぺんにビンタをするというものだった。
めったにしないのだが、「自乗」でひっかかるとえらいことになる。
ぼくは1年、2年とS先生に習ったのだが、学年で11組もあったから、1年の時はS先生に習ってなくて2年で初めて習うという人もクラスには当然いた。

かわいそうだったのは、Yさんだった。
1年の時は別の先生で、「自乗」と言っていたのだろう。
参考書をみても、2乗については自乗とも言う、と書いてある。
知らないということは、恐ろしいことだ。

何かの拍子に「自乗」と言ってしまった。
1年の時にS先生に習った生徒は、こらあかん、と思った。
「前へ出てこい」とS先生が言う。
Yさんは何だかわからないという顔で前に出る。
そこでS先生が「自乗はあかん。2乗と言え」と言いながら、両手を広げて一度に両方の頬をビンタした。

あの時は、本当にYさんは気の毒だったと思う。
女の子でも容赦はなかった。
でも、気丈なYさんは泣きもせず、席に戻って授業を受けた。

この不条理は何なのだろうか…、という空気だった。
2乗と習っていないのに、サンドイッチをくらうとは、どういうことだ…。

今なら、保護者から電話がかかってきて、先生はクビになること間違いないだろう。
どんな時でも、暴力はいけない、ということになっている。

しかし、ぼくらの中学時代は、こういう不条理なことがあっても、親が出てくることなどなく、生徒も仕方ないとあきらめていた。
これは暴力ではなく、当然先生がやっているから教育なのだろう、と思っていたフシがある。
おかげで、ぼくらは程よい緊張感をもって、授業を受けていた。

そういう経験があるから、ぼくは暴力は絶対ダメとは思わない。
時によっては、先生が生徒に体罰を与えるのは当然だ。
体罰と暴力のちがいなど、わかるわけがない。
そんなものは主観的なものだ。

今の子供にはわからないかもしれない。

とにかく、世の中は不条理なこともある、ということがわかるだけでも意味はあった。

その頃の先生は、きっとよかったのだろう。

それくらいの権威があった、と思う。


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