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2012.02.01 Wednesday
キリギリスの時間
キリギリスというと、イソップの童話を思い出して、あまりよくない印象がある。
ご存知、アリとキリギリス。 キリギリスは夏のあいだ歌って楽しく過ごす。 アリは夏の間ずっと働く。 冬が来て、食べ物がなくなったときに、アリは夏にためた食べ物を食べるが、キリギリスは飢えて死んでしまう、というお話。 キリギリスは夏に楽しんだ分、冬に苦しむ、というか、死んでしまう。 備えよ常に、という教訓だろう。 勤勉を良しとする、という教訓でもある。 しかし、勤勉は常に良いのだろうか。 最近の若い人によると、この話は夏に働きすぎたアリが過労死して、キリギリスは残された食料を食べて冬を過ごす、ということになっているらしい。 新しいバージョンだ。 この話も一理ある。 何事もやりすぎてはイケナイ、ということだ。 実際、働きすぎて過労死する人がいる。 英語には過労死にあたる言葉がなく、”karousi"と表記されることもある。 アメリカやイギリスでは、過労死する人はいないのだろう。 (もちろん、よく働く人はいるが、日本と違って高給取りほどよく働くという傾向があるらしい。) 日本の過労死は、金のためというより、働かないとみんなに迷惑をかけるというような動機が大きい。 追い詰められる、という感じがある。 ぼちぼち、日本でもキリギリスを再評価してもいいのではないか。 実際、若い人のアリとキリギリスは既にそうなっている。 ぼくの感覚では、アリの意見が正しいと思う。 しかし、時にはキリギリスの時間を持つことが、長く働くためには必要だ。 時にはキリギリスのように、歌って、遊んで、楽しく毎日を過ごす…、そういう時間を持つことが必要だと思う。 そうしないと、いきなり定年を迎えて、どうしていいかわからなくなる。 楽しく時間を過ごす術を身につけるためにも、キリギリスの時間はあったほうがいい。 キリギリス万歳。 |
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