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2011.11.03 Thursday
肉声
山本七平という人の本を集めた時期がある。
きっかけは「私の中の日本軍」という文庫本。 それまで何となく疑問に思っていた戦前の日本軍について、そうだったのか、という答えが出た本だった。 20代後半から30代前半にかけて、本屋で見つけると手当たり次第に買ったなあ。 亡くなって20年になる。 実際の下士官として南方戦線に行っていた。 キリスト信者。 山本七平は昭和を代表する批評家だと思う。 彼の日本人論は、日本人自身が気づかなかった無意識について教えてくれた。 その山本七平の講演のテープが残っていて、CDになっているのを見つけた。 彼の声は低い声で、穏やかな話し方。 何となく納得のできる声だった。 いかにも冷静な分析家という感じの声だ。 肉声を聞くというのは、文字だけで知っているのとは全く違う情報になる。 作者の声を聞いて、本を読むと、その声が聞こえる。 いくつかの彼の著作は古典になっていくだろう。 あの頃、電車の中で行き帰りに。何度か読み返した文庫本をもう一度読んでみようと思う。 |
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