考えたこと2

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古き良きイギリス
1980年代にヨーロッパに出張したときのこと。
イギリスとフランスを行ったり来たりした。
当時はタイヤを扱う会社にいたので、車での仕事が多かった。

イギリスでみんなでクルマに乗って移動していた。
ぼくは日本人の駐在員と一緒に乗っていたのだが、その人が言ったことで今でも覚えていることがある。
クルマの中でお腹がすいたので、パンか何かを食べていたら、それを同僚に見られて、あとで注意を受けたということだ。

同僚曰く「車の中でモノを食べるのは下品なことだ」という。
ニュアンスとしては、紳士のやることではない、というような感じ。
ぼくのいた会社は、もとはイギリスでも名門の企業で、それを日本の企業が買ったという状態だったから、日本人駐在員はエライ人だった。
同僚は、社会的な地位を意識させるべく言ったのだろう、とは駐在員の談。

きっと、ジェントルマンは車の中で食事などしない、ということだったのだ。
食事というのは、ちゃんとテーブルでとるものだという意識があったんだろう。
80年代のイギリスには、そういう気風があったんだと思う。
まだ、イギリスの紳士はいつも傘を持っているが、雨が降っても使わない、というような話が日本では言われていたころだ。

4年前夏休みにイギリスに旅行したとき、ガイドの人がロンドンも変わったと言っていた。
移民が増えて、古き良きイギリスが失われたらしい。
ぼくには、新しい車も多くて、昔に比べて景気がいいように思えたが、ずっといる人にとってはそういう変化なのだろう。

80年代のイギリスは、経済的には苦しんでいたと思う。
道には古い車ばかり走っていた。
その苦しさの中でも、ジェントルマンは…というイギリス人がいたということだ。
苦しい中だからこそ、ということかもしれない。
今ごろはもう70歳をはるかに超えているはず。

あれはイギリスの騎士道にまで通じるものだったのだろうか。
何となく、日本の武士道と親近感があって、ぼくは好きだったのだが…。

今ならきっと、車の中でパンを食べるのは、あの頃よりは普通に近づいていると思う。

日本ではコンビニで弁当を買って、昼飯を車の中で食べている人も多くなった。

ロンドンも変わったし、日本も変わったのだろう。

時間は戻らない。


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