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2012.10.13 Saturday
研修
金曜日は研修に行った。
以前行った論理コミュニケーションの研修。 その続編だった。 論理的に読むということが目標。 しかし、論理的に読むことは、論理的に聞くことでもあり、それを教えるのは難しい。 そのために、書くことから始める。 「文章=意見+根拠+事例+その他」で成り立っている。 一番大事なのは、意見。何が言いたいのかということ。 その次になぜその意見が言えるか、という根拠、そしてそれを支える事例。 それらを省くと、残りはさして重要ではない。 それらを分けて考えることができるのが、「文章の設計図」。 設計図にしたがって、書いていく。 まず意見だ。与えられたテーマで、自分の意見を出す。いくつ出してもよい。 短い時間でたくさん出させる方が、よけいな考えが入らないし、独創的なものが出る可能性が高い。 だから、2分とか3分で10個というような数を目安にする。 次にそれらの意見に対して、根拠を出す。 「意見、なぜなら、根拠」、というパターンだ。 学校を面白くするには、というテーマに対して、参加型授業を増やす、という意見を出したとすると、その意見はどんな根拠があるか、ということになる。 参加型授業を増やす、なぜなら、生徒が積極的に関われるから、というように考える。 これを意見の一つ一つについて、考える。 そして、書けるものを洗い出す。 この時点で、もう一度意見を見る。 根拠が出せない意見は消す。 根拠が確かでたくさんある意見を2つ丸で囲み、その他は捨てる。 そこで、その根拠を補強する事例を考える。 今度は「根拠、たとえば、事例」というパターン。 同じようにいくつかの根拠に対して事例を書く。 中には事例のない根拠もあるが、それはそのままにしておく。 ここで全体をみて、2つの意見を1つに絞る。 より、確からしい、根拠や事例が出せたものにする。 次に一つ選んだ意見について、いくつかある根拠を2つくらいに分ける。 AとBというふうに、グルーピングして、その他は捨てる。 そして、そのAとBにそれぞれどんな意図で分けたかを書く。 これで、ほぼ完成。 あとは400字詰めの原稿用紙にその結果を写すだけ。 私は「テーマ」にたいして、「意見」と考える。 その根拠は大きく分けて二つある。 第一に「グループA」、第二に「グループB」。 こういう風にして文章の論理的な構造を理解する。 これをいくつもやって、意見、根拠、事例というパターンを身につける。 それを理解することで、はじめて論理的に読めるようになる。 もちろん、そのための練習もあるのだが、それはまた。 しかし、読むために書く、という発想の転換がすばらしい。 それだけ、読むことは難しいということだ。 ぼくは、読むことよりも書くことの方が難しいと思っていた。 しかし、実際には逆なのだ。 誰しも意見はある。 それらを根拠、事例で補強する。 論理的な文章は必ずそうなっている。 もちろん、文学などは別だ。 心を震わすような文章には、意見や根拠など関係ない。 しかし、ビジネスの世界で使われる文書や指示などは、論理的な構造を持っている。 それをどうやって伝え、どうやって聞くか。 その能力が今問われている。 この方法を作るに先立って行われた企業への調査によると、「論理的に考える」という項目が最も必要とされている、という結果が出たとのこと。 その力を伸ばす、そのことこそが企業で「即戦力」と言われる人を育てることになる。 そのための道のりは遠い。 ごく一部の高校で、このプログラムをやり始めたところ。 先生方にはなかなか理解されない。 文章の行間を読むことが大事だ、とか天声人語を写す方がよいとか、いろいろ言われるらしい。 しかし、こういう考え方はもっと紹介されるべきだ。 本当に論理的に考えるくせをつけるために、ぜひ必要だからだ。 「好きだから好き」「ダメだからダメ」…、こういうのは意見ではない。 意見には必ず根拠があって、それを補強する事例がある。 10年がかりで開発しただけのことはある。 開発した慶応大学はえらい。 |
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