考えたこと2

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アルバイト先にだけは就職したくない
大学生たちに「アルバイトをしているか?」と聞くと、8割ほどが「している」という。
重ねて、「アルバイト先に就職することも考えているか?」と聞くと、全員が迷いなく手を下げる。
これに関しては本当に迷いがない。
普段はあまりはっきりした意思表示をしない彼らが、この場合は明確に意思表示する。
能動的に挙げた手を下げるのだ。

これはどういうことか。
アルバイト先のことは、店長など正社員に聞いてわかっているからだと思っていた。
どこでも正社員はシンドイ。
だいたいは、外食や流通小売関係。
どこに行っても正社員はシンドイということを知らないから、バイト先に就職したくなくなる。

でも、最近どうもそうではないような気がしてきた。
彼らの「ここでは働きたくない」という気持ちがあまりにも強いからだ。
単に「実情がわかっているから、やめておこう」という感じではない。

たいがいの学生は、「なぜイヤなのか」と聞くと「とにかくバイト先だけはイヤ」と答えることが多い。
この言葉にはその業界というよりも、「バイト先」そのものを嫌っている、というニュアンスがある。
時には彼らの言葉には「バイトをさせられている」という感じすらある。
自分で選んでバイトをしているにも関わらず、だ。

バイトにも選考があって、もっと他のバイトをしたかったが、そこでしかできなかった、ということもあるかもしれない。
それでも、途中で変わることもできたはずだ。
実際、積極的にいくつものアルバイトをする学生もいる。
仕事を体験してみたい、という学生だ。
そういう数少ない学生は、アルバイトというものを肯定的にとらえている。
しかし、積極的に手を下げる彼らは、アルバイトを自分で選んでおいて、そこだけは就職したくない、という非常にネガティブな気持ちを持っている。

今の日本の外食・流通業界は、コンビニ等のIT武装した業界が出てきて、価格を下げないと生き残れない、という状況だろう。
離職率も高い。

大学生のアルバイトは業界にとって格好の労働力になる。
IT化がそれを加速した面もある。
レジスター、バーコードリーダー、無線端末など、スキルを磨かなくても仕事ができるようになってきた。
90年代にインターネットが発達し、2000年代になってそれが端末にも展開され、大学生でも出来る仕事が増えた。
時はちょうどデフレで、価格を下げる圧力が働いたはずだ。

学部だけで220万人いる大学生。
店によっては店長以外みんなバイトやパートというところもある。
普段はバイトやパートしかおらず、店長が時々来るという店すらある。
何か起こったらどうするのか、と心配になる。

結局は大学生を安価な労働力としてとみているからだろう。
だから、彼らもそういうふうに扱われるのは不本意だし、「そんなところで働きたくない」と思う。
しかし、こんなことを続けていて良いのだろうか。
こんな状態だから、冷蔵庫の中に入って写真を撮り、インターネットにアップするバイトが出たりするのではないだろうか。

ぜひともバイト先に就職したい、この会社はいい会社だ、などと思う仕事をさせないでいいのだろうか。
彼らの最初の就業体験を、ネガティブなものにしていいのだろうか。

日本の就業者数は6366万人。
大学生の7割がアルバイトをしているとして、150万人ほど。
人数はしれているが、彼らの将来は長い。
これからの日本を支えないといけない労働力だ。
彼らを使い捨ての安価な労働力としてだけ見ていて、本当にいいのだろうか。

ヨクナイと思う。

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