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2017.08.30 Wednesday
教員のミスマッチ
また教育困難大学の記事。
下位の大学は、受験生を確保するために、あの手この手を使っている。 なかでも、夏の季節はオープンキャンパスで受験生を呼ぶ。 大学に転職当時、これは一体何かと驚いたが、Wikipediaによると2000年代から始まったらしい。 ぼくが転職した当時は、ちょうどオープンキャンパスが始まってしばらくした頃だった。 Wikipediaには、高校生に大学の説明をして、ミスマッチを防ぐということが書かれているが、下位の大学では明らかに受験生を獲得することが目的。 そうでなければ、経営が苦しいからだ。 そういう大学では、専任教員が高校に出前授業をしたりする。 受験生に、自分の学科の面白さを宣伝して、来てもらわないといけないからだ。 ぼくがいた大学では、そういう営業ができる先生とできない先生がいた。 どちらかというと、できない先生の方が多かったんだと思う。 なぜできないかというと、高校生に面白おかしく授業ができないからだ。 そういう訓練を受けて、教員になったわけではないから、仕方ない。 まともに考えれば、その分野で研究をしているのだから、誰でも面白さを伝えることができそうなものだが、悲しいかなそうではない。 行ってもらったところ、高校側から「あの先生はダメ」という声が出る。 そうなると、逆効果なので、二度と行かないことになる。 だいたい、そういう先生は研究実績も芳しくない。 元々、下位の大学では学会誌に論文が出せるような先生は一握りだが、5年以上何も書いていないという先生がザラにいる。 だから、教育実績とか、地域貢献とかで頑張らざるを得ない。 でも、趣味でやっているような授業だから、教育実績も上がらないし、ゼミ生の面倒見も、よくない事が多い。 そういう先生に限って、事務に対しては「私の研究は…」などというから困る。 結局、マジメに研究している先生が、受験生への営業もできる。 だから、毎年行く先生は決まってくる。 教育困難大学の問題の大きな部分は、そういう教員の存在だろう。 下位の大学の大学教員というのは、一般的に学校に対する帰属意識が薄く、上位の大学に変わりたいとは思っている。 でも、結局は変われない。 たいがいの大学教員の求人は、学術論文の実績や教育成果などが重視されるから、なかなか他には行けない。 だから、不満ながら、そこで一生を終えるのだ。 そういう先生たちに教えられる学生が気の毒なのは、当然の結果。 結局は大学の価値は先生で決まる。 そこを書いてほしかった。 |
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