2011.09.24 Saturday
現代<死語>ノート
小林信彦著 岩波新書である。
この本自体がもう古本でないと手に入らない。
1956年から1976年までの流行語を紹介して、作者がコメントしている。
1956年というとぼくが生まれる前の年。
だいたい、ぼくが生まれてから20歳になるまでの時代が書かれている。
なぜ1956年かというと、この年に「もはや戦後ではない」という流行語が出たから。
「現代につながるもろもろが顕在化するのは、みごとに、この年なのである」とのこと。
知識としては知っているが、使ったことがない言葉は、もちろん物心つくまえの言葉。
太陽族、深夜喫茶、才女時代、ゲタバキ住宅、イカす、カミナリ族、タフガイ、ファンキー族、トサカにくる…、これが1956年~1962年あたりの言葉。
もちろん、もっとたくさん載っているのだが、その中から選んだ。
太陽族というのは、フランス映画の太陽がいっぱいではなく、石原慎太郎の太陽の季節から。
今でこそ当たり前のものだが、深夜喫茶は昭和30年代の言葉。
1962年(昭和37年)くらいから、ぼちぼちぼくが使った言葉が出てくる。あたり前田のクラッカー、これはてなもんや三度笠の藤田まことの決め台詞。藤田まことが喜劇俳優だということを知らない人も増えた。
1963年、シェー。赤塚不二夫の漫画からだ。学校でシェーの格好が流行った。
1964年、インド人もびっくり。SBカレーの宣伝から。ぼくは今でも使う。
1965年、モーレツ社員、マイホーム主義、マカロニ・ウエスタン。この年は不況と公害の年で、高度成長のひずみが出た年らしい。
1966年、ミニスカート、黒い霧。この年は死語が少ない。まだ生きている言葉が多いらしい。
1967年、ヒッピー、グループサウンズ、ゲバルト。
1968年、明治百年、昭和元禄、任侠映画、ハレンチ、ノンポリ、タレント候補。この年は大学紛争の年。
1969年、エコノミック・アニマル、アッと驚くタメゴロー、やったぜベイビー。この年に大学紛争が沈静化に向かう。
1970年、どっちらけ、ハイジャック、ヘドロ、モーレツからビューティフルへ、ウーマン・リブ。ご存知、万博の年。
1971年、ニクソン・ショック、三無主義、脱サラ、フィーリング。
1972年、列島改造、あっしにはかかわりのねえことでござんす、ナウい。田中角栄が出てきて、木枯し紋次郎が出てきた。
1973年、石油危機、便乗値上げ、日本沈没。インフレと不況の年。
1974年、狂乱物価、金脈、ニューファミリー。田中角栄辞任。
1975年、自宅待機、複合汚染。ベトナム戦争終結の年。
1976年、ピーナッツ、記憶にございません、灰色高官。ロッキード事件一色の年。
1976年はぼくが19歳の年。
まだ社会人になっていない。
1997年に発行された本。
14年前の本である。
作者は時代がどんどん悪くなると書いているが、それは97年時点での話だろう。
そこから先、本当にどんどん悪くなった。
経済は成長して当たり前と思っていたが、間違いだった。
残念。
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