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2016.07.11 Monday
ジャニーズのビジネス
知り合いがジャニオタ(ジャニーズオタク)で、嵐のファンだという。
話を聞くと、コンサートにはなかなか行けないとのこと。 え、なんで?と聞くと「なかなか当たらないから」という返事。 でも、1回で何万人も入れるドームでやるんやから、後ろの方ならすぐに買えるやろと思ったら、大きなマチガイだった。 今年は5大ドームツアーを行う予定。 全部で18日。札幌、東京2回、大阪、名古屋、福岡で、動員人数はざっと84万になるらしい。 このチケット、ほとんど一般の申し込みは当たらない。 ファンクラブに入ることがまず必須だという。 ファンクラブに入会金1000円と毎年4000円の年会費を払って会員証をもらう。 毎年4000円を払い続けていないと、まずコンサートに行けないという。 4000円は高いと思うが、それは仕方ない。 ちなみに、嵐だから4000円というわけではなく、ジャニーズのタレントは一律4000円ということだ。 だから、嵐とSMAPの両方に入ると毎年8000円が出ていくことになる。 そして、嵐のファンクラブは何人いるのかというと、なんと190万人らしい。 ダントツ1位だ。2位のSMAPが102万人。3位のKinkikidsが50万人とのこと。(これらの数字には退会者も含まれていると思われる) 嵐だけで最大4000円X190万=76億円が固定収入でジャニーズ事務所に入る。 ちなみに、2016年7月時点でファンクラブの総数は延べで570万人を超える。 チケットが欲しくて一人で複数名義入っている人や、嵐だけでなく他のファンクラブにも入っている人もいるだろうが、とにかくファンクラブの会費だけで、毎年200億を超える儲けがある勘定だ。 もちろん、会報(年4回不定期発行)は来るのだが、1回A5サイズで10ページ足らず。 ネット上でショボいという声も上がっている。 まあ、4000円も出しているんだから、ちょっと不満もあるだろう。 要はボッタクリの会費ということになる。 タレントビジネスもここまで来たかと驚くほかない。 今のジャニーズから見たら、昔の渡辺プロなど子どもの遊びみたいなものだ。 チケットはドーム内一律料金だ。 ファンクラブに入っていて、8500円だという。 最近値段が上がってきて、中高生には厳しいらしい。 アリーナ席も、観客席も同じで、一人が当たると4枚まで。 だから、ファン同士が4人で組んで注文する。 それでも、ネット上で見ると、6年間ファンクラブに入っているのに、1回も行けないという人もいる。 全く気の毒だ。 おそらくいい席の料金を5万円程度にしても完売すると思う。 でも、ファンは小中高生も多いから、そんなことをしたらそっぽを向かれるだろう。 それがわかっているから、一律料金にするのだ。 その代わり、会場を工夫し、どこの席でも満足できるように演出する。そこにお金をかける。 これは従来の興行の常識を破る商法だ。 そういう努力をしてきたからこそ、ファンと長い付き合いができるのだろう。 さすがジャニーズ、と思うところだ。 1回のコンサートの収入を減らしてでも、長くリピーターを増やすという戦術である。 今回のツアーは84万人が動員されるので、チケット売り上げだけで71億円。 調べてみると、ドームのツアーは満員になってもそんなに儲からないという話だ。 バンド系とは違って、準備が大変なのだろう。 警備やなんやかやでお金がかかることもある。 儲けのメインはそこで販売するグッズ。 2015年のツアーのグッズは以下のようになっている。 ●ジャンボうちわ(個人/5種類) 各600円 ●絶好調超!!!!ライト 2,300円 ●Tシャツ 2,800円 ●巾着ポーチ 1,500円 ●お礼袋 500円 ●ポスター(集合・個人/6種類) 800円 ●クリアファイル(集合・個人/6種類) 600円 ●ショッピングバッグ 1,800円 ●ブランケット 1,800円 ●風呂敷 1,000円 ●やりすぎちゃったJaponismカレンダー2016 1,500円 ●パンフレット 2,200円 ●ミニうちわ(集合1種類) 400円 ●和シール 400円 ●マスキングテープ(会場限定アイテム) 500円 行く人はこの日を目指してお金を使おうと思っているから、デフレなど関係ない。 年配のファンなら2万クラスの大人買い、中高生はちょっと少ない。 だいたい、グッズで50億以上はかたいと思う。 ツアーのプレ販売もあって、会場設営している期間にグッズのみ販売するらしい。 これの抽選に当たった小学生のお母さんが、掲示板で「何時頃行ったら早く買えるか」というような質問もしていた。 娘のためとはいえ、大変なことになっている。 もちろん、お年玉をためているのを使い、友だちに配る分もあるんだろう。 ジャニーズが肖像権にうるさいのは、これらのグッズの販売がかかっているからだという。 主演のテレビドラマや映画のホームページにも載らないくらいだ。 確かに肖像権を絞ってしまえば、嵐グッズのレア度は高まり、ここでしか買えない感は大きくなる。 だからこそ、安易にライセンスせず、自分の事務所で全てを管理し、儲けを独占するということができるんだろう。 これも従来の、儲けられる時に大儲けしてしまって、結果的に肝心のタレントの寿命を縮める手法ではない。 やる気になれば、ライセンスして嵐消しゴムや嵐筆箱、嵐弁当箱などいくらでも出せるが、そんなことをしてしまえばファンの充足感が満たされるのが早く、飽きられる。 ジャニーズのタレント管理は、当該タレントも息が長くなるようになっている。 だからこそ、SMAPの独立にはとことん反対したのだろう。 ちなみに、コンサートでは当然だがダフ屋も活躍しているようで、ネット上で、コンサート会場での主婦の会話として、「最近の嵐のコンサートは1回に30〜50万かかる」という書き込みもあって、すごいプレミアがついている。 まあ少なく見積もっても10万円では売れる勘定。 アリーナ席ならネット取引で50万は下らないと思う。 しかし、正しいファンクラブの会員なら、そんなところから買わない、という正義派も多いのは事実。 こういう書き込みもあった。 「ダフ屋から買うのは絶対にやめてください それはジャニーズも禁止しているはずです!! そんなことをして会いに行っても嵐は喜んでくれないです!! 外れたならその時点で諦めるのが普通です わたしは去年はずれましたが耐えました そしてやっと今年行ける。喜びがあります 違反行為をしてまで行ってスッキリ終わるのでしょうか?」 こうなると、もう宗教の世界に近い。 たしかに、正しいジャニーズファンは嵐に限らず、ちゃんとゴミを持って帰ろうとか、まわりに迷惑をかけないとか、マナーもいいと聞いたことがある。 そんな状態だから最近はジャニーズ側も対抗して、入るときに顔認証をするシステムを導入した。 だから、チケットの応募の時点で写真を送らないといけないという。 かなりややこしいシステムだが(個人情報など大丈夫か?)、これによってファンクラブの名義を複数持っていても意味がなくなるから、会費は減るだろう。 顔認証をやらないといけないほど、ファンクラブに入っていてもコンサートに行けなくなって文句が出ている、ということか。 ファン情報では、実際にはまだ本気で管理するという感じではないが、やる気になりつつあるというところ。 嵐の84万人の動員には、悪知恵などない小中学生のファンをつなぎとめ、将来ともにファンクラブを維持していくという使命もあるのだ。 こうなると、もう教祖に近い。 ジャニーズ事務所のビジネスの土台は、何社かの子会社が握っている。 ネット上に記事があったが、 「音楽の著作権管理の「株式会社ジャニーズ出版」、CM・広告を手がける「ユニゾン株式会社」、ファンクラブ運営の「ジャニーズファミリークラブ」、グッズ販売・ショップ経営の「ジェイ・ステーション」、コンサート・舞台主催の「株式会社ヤングコミュニケーション」と、その傘下のチケット販売「コンサート事務局」といったところ。いずれも近代的な芸能プロダクションにとっては欠かせない。 中でも特筆すべきは「ジャニーズファミリークラブ」だろう。ファンクラブを単なるファンサービスの一環としか考えていない事務所が多かった時代、ジャニーズはファンクラブを中心に作り上げた強固なネットワークをベースにビジネスを展開してきたと指摘する芸能関係者は多い。」 ということだ。 ここまで調べてみて、ジャニーズの強みは、儲かるからと言ってタレントを安売りしない姿勢と、ファンクラブを大事にして固定収入を得るということ、ドーム時代を見越して組織をちゃんと作り、それだけのオペレーションをやれる体制を作ったことなどに集約される。 しかし、これだけの規模の会社が一事務所で財務状況も公表されず、大きすぎる力を持ってしまったのは問題かもしれない。 テレビ局など、ジャニーズのいいなりと言っていい状況だ。 それはSMAPの独立騒ぎを見ていたらわかる。 事務所としては、SMAPをだんだんと切っていって、嵐と他のグループに振り分け始めているのは見え見えだ。 でも、そんなことよりも、ファンにとっては嵐は教祖なのだ。 ジャニーズは平成の宗教ビジネスなのだろう。 だから、清く正しく美しくあらねばならない。 ジャニーズとは、そういうビジネスなのだ。 |
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