考えたこと2

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大学教授のレジャーランド
筒井冨美という人の記事を読んだ。
とても辛口の記事だが、ぼくの大学での経験からも頷ける内容。
理系の大学は知らないが、下位の文系の単科大学では、記事の内容はほぼ真実。

「「ボソボソと教科書を読み上げるだけの授業」「学会と称してしょっちゅう休むが、研究論文は10年以上書いていない」「そもそも英語の論文など書いたことがない」という大学教授は日本では珍しい存在ではない。中には「エクセルやパワーポイントを知らない」「Eメールを使ったことがない」教授も実在する。そして、現在の日本の法律では「Eメールを使えない」「授業がヘボい」「研究論文を書かない」程度で既に教授になった人材を解雇・降格することは非常に困難であり、日本の大学は今や「大学教授のレジャーランド」でもある。」

その通りである。
ぼくが大学にいたころ、他大学の事務の人が「あの先生のために紙を印刷して配らないといけない」と言っていたのを思い出す。
Eメールを見ないのだ。見ないというより、使えないと言ったほうがいい。
年をとったエライ先生なら、それが通ってしまうのが大学というところ。
もちろん、その大学のガバナンスにも問題があるが…。
おそらく、そんな大学だから、学長が言ってもエライ先生は聞かないんだろう。
民間では考えられないし、今のご時世なら公務員でもあり得ないだろう。
だからこそ、「大学教授のレジャーランド」という言葉が真実味を持つ。

昨今、定義は変わりつつあるが、大学教員の主たる仕事には「研究」というものがある。
今頃は大学も情報公開をせざるを得なくなっており、教員の研究業績・教育業績なども公開されている。
そこを見て、研究業績のところに「論文」と称するものがどれだけあるかを見れば、一目瞭然だ。
「論文」と言っていても、どこに発表したかというのが重要だ。
「学会誌」というものに発表しているものが論文という扱い。
そこに載るためには査定を受け、一定のクオリティを保たなければならない。
それが「学会誌」というものだ。

でも、多くの下位大学では、学校が発行している「紀要」とか、学部が発行している「学部紀要」、大学の附置機関が発行している「ナントカ紀要」というようなものがある。
その「紀要」はカウントしてはいけない。
実質的に外部の査定がない「紀要」などというものは、慣れ合いになってクオリティが保証されない。
もともと、学会誌に載せられないから、紀要に発表するのだ。
これは本来大学院生が論文を練習するためのものだという。
それが下位大学では先生が昇任するための道具になっている。
文科省も本気で「紀要論文はカウントしない」と言えばいいのに、そんなことを言ったら20万人弱いる教員のうち、半分は実績不足で職を返上しないといけなくなるだろう。

この記事の筆者は、世界の中で日本の大学のランキングを上げるためには、これを変えないといけないと言っている。

「安易に金を出す前に「シンガポールや中国の大学にあって、日本にないモノがあるよね」と私は言いたい。「正規/非正規の格差」とは現在の日本のあちこちに歪をもたらしているが、教育…なかでも大学教官という分野での格差は大きい。「テープレコーダー教授」の雇用は定年まで守られ、退職後の年金や、死後も配偶者の遺族年金が法律で保証されている。一方、これから大学教官を志す若手研究者は、非正規の助教ポストや「一コマいくら」の非常勤講師ポストしか与えられず、「テープレコーダー教授」よりはるかに研究実績があっても、「3年たったら正規雇用にしなければならないけど、そんな予算ないので」と一方的に雇い止めされたりもする。日本の大学には「働かない中高年正規vsヘトヘトの若手非正規」という日本社会の縮図のような格差があり、「低能教官の降格」「無能教官の解雇」「有望な若手と入替」というシステムがない。そして「テープレコーダー教授」や「ヘトヘトの非正規教員」から、質の高い授業や論文は期待できないだろう。」

教員の新陳代謝をしないとイケナイということだ。

ぼくは全面的に賛成。

教育に精を出し、論文も書いている非常勤の若手の先生が報われないと、日本の未来はないぞ。

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