考えたこと2

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教育経済学
小さい頃にどういうしつけを受けたかで、年収が変わるという。
京都大学の西村和雄教授が「基本的モラルと社会的成功」という論文で発表したらしい。
コクヨのサイトに記事が出ていた。

教育経済学の世界では、「教育の効率は小さい頃に行えば行うほど高い」ということが言われている。

シカゴ大学のヘックマン教授らによって、1960年代から「ベリー幼稚園プログラム」というのがあるらしい。長期に渡って、教育の効果を測定しているのだろう。
この実験の結果、幼児段階の質の高い就学前教育は、その後の学歴、年収、雇用などの面で大きなプラス効果をもたらし、効果が長期にわたって持続する、ということが分かった。

この「質の高い教育」は単に学力だけではなく、小さいころの「しつけ」も含んでいる。
実際、日本の社会人15494人に対して行った調査結果で、8つのしつけについて、それが記憶にあるか、という質問をしたとのこと。

8つのしつけとは、“ルールを守る” 、“あいさつをする” 、“他人に親切にする” 、“勉強をする” 、“親の言うことを聞く” 、“うそをついてはいけない” 、“ありがとうと言う” 、“大きな声を出す” 。

調査の結果、このうち4つが大事だということになった。
なんと4つすべて受けた人は、1つでも欠けた人よりも、約64万円も平均収入が高くなり、4つすべて受けた人と、ひとつも受けていない人の差はさらに開いて約86万円の差が出るという。
その4つとは、“うそをついてはいけない” 、“他人に親切にする” 、“ルールを守る” 、“勉強をする”。

ということは、”あいさつをする”、”親の言うことを聞く”、”ありがとうと言う”、”大きな声を出す”はあまり関係がないということだ。
まあ、これらの項目は、”ルールを守る”ということに含まれているのかもしれない。

しかも4つの項目は、一つ欠けても差が大きい。
いずれも、影響が大きいということだろう。

この前書いたが、うそをつくことに対するハードルは下がっている。
自分の利益のためには、平気でうそをつく人が増えてきた。
長い目で見れば、それが却って自分たちの収入を減らすことになるのだろう。

西村教授は言う。

「道徳や規範は、小さいときに身につけないと本当の意味で身につくことができません。大学生・高校生に教えてもあまり効果はないでしょう。最低でも小学校低学年までには教えるべきなのです。道徳というのは、考え抜いて出てくるものではありません。記憶の中に入っているものが、意識となり、モノゴトを決めるときに道徳的に判断できるのです。だからこそ、まず知っていることが大切です。たとえば“ウソをついてはいけない”のように、知っておかなければならないことがあるのです」

そういう意味ではテレビの役割は大きいと思う。
知らず知らずのうちに、刷り込まれていることがあるからだ。

小さいころにおバカの出てくるバラエティを見ていて、バカでもいいんだと思うなどというのは、その最たるものだと思う。
おバカキャラなどという言葉ができる事自体、オカシイと思う。
最近のクイズ番組を見ていて、つくづくそう思う。
AKBの若い女性など、バカを自慢しているとしか思えない。
そういうのを見て育った子どもが、”勉強をする”ということに価値を置くだろうか。

”他人に親切にする”ということの価値もはなはだ脆くなってきた。
学校では友だちがいる、ということの価値が突出して高い。
それがカーストを生む。
カーストというのは、みんなに親切にするということを認めない。
カースト内での団結を守るためだ。
誰かれかまわず親切にしていたら、カーストで仲間はずれにされてしまう。

そんな風に、小さいころの体験が悪影響を及ぼすこともあるだろう。

テレビの視聴者は減っていっていると思うが、それでも子どもにとっては影響は大きい。
もちろん、学校の影響は言うに及ばずだ。

そんな観点から見てみると今の日本の子どもが置かれている環境は、だいぶ危ういと思う。



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