考えたこと2

2024.9.24から、今までhttp:で始まっていたリンクが、https:に変わります。申し訳ありませんが、リンクが見られないときは、httpsに変えてみてください。
CALENDAR
<< September 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
+SELECTED ENTRIES
+RECENT COMMENTS
+CATEGORIES
+ARCHIVES
+PROFILE
+OTHERS
相馬に行く2 その3
今日は最終日。
相馬の工業団地を案内してもらって、文字島という観光スポットを見せてもらった。
N君は3日間の休暇を取ってくれて、案内してもらって、ありがたかった。

同時に、彼が5年目になる相馬でたくさんの人たちと知り合いになり、土地に溶け込んでいることに驚いた。
今日の昼の蕎麦屋のおじさんもそうだったし、相馬の道の駅でも声をかけられていた。
人口3万6千人の相馬市で、復興支援NPOでがんばったからこそ、それだけの声がかかるということだろう。
冗談で、市会議員にでも出たらどうかと言ったら、笑っていた。

60歳まで会社勤めをして、いきなり復興支援のNPOとは思い切ったキャリアチェンジをしたものだとつくづく思う。
そんなに給料が多いわけでもなく、見知らぬ土地に移って、小さなアパート暮らし。
アパートからNPOの事務所に歩いて行き、昼食はアパートに帰って食べるとのこと。
去年奥さんが関西に帰って、一人暮らしになった。

金より仕事のやりがい、というチョイス。

何人か、定年を迎えた彼の会社員時代の仲間も来てくれたとのこと。
そういう人たちは、ぼくと同じようにそういう人に会いたいと思って来ているのだろう。

一緒にきたS君も、70歳までは働きたいとのこと。
今は再雇用を選んではいるが、ぼくが再定年の65歳になってしまったらチョイスは狭まるという話をしたら、早めに次の仕事を見つけよう、と言っていた。

人生の黄昏はこれから。
まだまだ長い。

三谷清左衛門残日録の言葉を思い出す。

「日残りて昏るるに未だ遠し」

老いることすなわちまた生きることなり
いつの日か命果てぬとき来たらば
ありがたき心捧げて死を迎えん
されどいよいよ死ぬるその時まで
与えられし命いとおしみて
ひとすじに生き抜くべし

藤沢周平の世界。

ぼくも先のことを考えておこうと思う。

いろいろとお世話になりました。





| | 考えたこと | 23:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
相馬に行く2 その2
今朝はホテルの朝食が美味しくて、全部食べてしまった。
9時にN君が迎えに来てくれて、出発。

いよいよ4年前に行った福島原発のある浪江町に行く。
前に比べると、だいぶ人が増えた。
帰還困難区域が解除されて、戻ってきている人も多い。
浪江駅の前やメインの通りは割と賑やか。

さすがに、原発には入れないが、今回はまず中間貯蔵工事情報センターに行く。
実直そうなきっと元は原発で働いていたと思われるおじさんが説明してくれた。

双葉町と大熊町にまたがった中間処理場は、渋谷区と同じくらいの面積があるという。
実際には1mSVの除染は科学的に本当に必要か、という議論もあるのに、そんなことは全く言わない。
原発事故を起こして、すまないという気持ちなのだろう。
ぼくが広島は原爆が落ちたのに、除染も何もしないで、今はなんともないんだから、今回の事故の放射能はそんなに大したことはないのですよね、と言ったら説明員のおじさんはちょっとにっこりした。

続いて行ったのが、廃炉資料館。
ここは元々エネルギー関係の点時間だったらしいが、それをリニューアルして作ったとのこと。
こちらも最初に見せてくれた映画で、やや卑屈なくらい東電の謝罪があった。
地元の人たちに対して悪いことをした、という気持ちなのだろう。
でも、関西から見学に行ったぼくやS君にとっては、違和感があった。
贖罪の気持ちはわかるが、そこまで卑屈にならなくても、と思う。
でも、そうしないとここでは生きていけないのだろうと思うと、ちょっと悲しい。
そういう東電の社員の人たちがたくさんいる、という話は聞いたことがある。

結局、国は東電に全部責任を押し付けて、逃げてしまった。
電力会社の罪がないとは言わないが、原発建設は国策でもあったのだから、仕方がない。
当時の東電社長、会長がコストをケチったことは悪だと思うが、それは法律で裁かれるべき罪かと言われると、そうではないと思う。
倫理的には罪だが、法的には難しいだろう。
もし津波が来なかったら、何の問題もなかったのだから。
あれを天災というのなら、無罪判決は妥当だと思う。

今日の見学は重かった。
夜はまた宴会。
N君へのお礼でS君と二人で支払った。

明日は昼を食べて、相馬を後にする。

| | 考えたこと | 00:12 | comments(0) | trackbacks(0) |