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2020.07.08 Wednesday
消えた香港
香港には1987年に仕事で行った。
当時は香港の販売店とは資本関係はなかったが、同じブランドを扱う会社として訪問させてもらい、新しい製品についての説明のプレゼンを行った。 宴会に呼ばれて、論語のことを話したことも、いい思い出だ。 クレイジー・ケン・バンドの「香港的士」もいい曲で、いまでも時々カラオケに行ったら歌う。 民主化デモが始まって、改めて香港のことを思ったりした。 今回の中国共産党の国家安全維持法について、いろいろと書いてある記事を読むと、よほど香港のデモが共産党にとって邪魔だったことがよくわかる。 すでに民主化運動の組織は自主的に解散し、中心的な存在だった若者たちは姿を消したという。 もうあの自由で猥雑な雰囲気のある香港はなくなってしまった。 この国家安全維持法は、総則でうたわれている建前は民主的なものだ。 しかし、市民が投票の行くにはこの法律に従うことを署名し、宣誓することが必要であったり、テロ活動の防止については学校・社会団体・メディア、インターネット等が監視対象になるなど、いままでの香港で民主化の中心的存在だったところが狙い撃ちされている。 また行政長官の下に秘書処というものが設置されて、その秘書長は中央政府の任命であり、中央政府が指名・派遣する国家安全事務顧問が会議に出席し、アドバイスを行い、委員は中央政府の「監督及び問責を受ける」ことになっている。 この委員会は「業務情報は公開しない」ということで、市民からは見えない秘密組織ができたということだ。 さらに、新設の国家安全維持公署は予算も中央政府が出し、人員は中央政府の関連機関が合同で派遣されるとのこと。 要は中央政府から派遣された秘密警察組織だろう。 これなら、民主化運動をした学生たちが姿を消すのも当然だ。 条文には抽象的な表現も多く、恣意的に民主化運動家を捕まえることもできる。 また、その支援をした人も犯罪とされているので、メールを送ったり、お金を支援することもできない。 おまけに、外国人が香港以外の場所で違反をしても、この法律は適用されるとのこと。 記事には、 「捜査手法については「犯罪の証拠がある場所、車両、船、航空機その他の関係する場所及び電子機器を捜査可能」「情報発信者又は関連するサービス業者に情報の消去又は協力の提供を要求」(第43条)とされており、電子メールなどの閲覧はもちろん、電話などの盗聴も可能で、捜査機関はあらゆる手段を使って海外からの情報も入手するであろう。」 と書かれている。 ぼくが行った当時の、猥雑だが自由な雰囲気の、なんとも言えない明るさがあった香港は、今回の法律で完全に消えた。 日本は西側の一員として、習近平を国賓として招くのは中止すべきだと思う。 中国からの旅行者で日本中が潤っていたが、それなしで食っていくことも考えないといけなくなるのが苦しいところ。 でも、「武士は食わねど高楊枝」で、ここは「やせ我慢の美学」を見せるときだろう。 そうでないと、香港で姿を消した若者たちにバカにされるぞ。 |
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