考えたこと2

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IMV
一昨日は大阪の計測器の商社に行った。

30年近く前に、IMVという日本のメーカーの周波数分析機という計測器を使っていた。
振動を測る機械である。
入社して最初の仕事だった。

モノにはそれぞれ振動しやすい周波数があって、叩いたりすると、その周波数の振動が大きく出てくる。
その周波数を解析する機械だった。

何でそんなことを思い出したかというと、その商社の取扱品目の中にIMVという名前があったのだ。

商社の人に、IMVの周波数分析機、なつかしいですねえ…と言うと、古いですなあ…という返事。

70センチx40センチくらいの盤面に、ボタンとスイッチが50個以上ついていた。
目盛りのついたダイヤルもあった。

使いはじめる30分以上前に電源を入れ、ウォームアップしておかないと、測定値がズレる…と先輩に言われて、出社すると同時に実験室を開けて、スイッチを入れていた。

CRTや液晶の画面があって、結果がそこに出てくるというようなハイテク機器ではない。
アナログのかたまりで、出力は背面にある端子の電圧で表される…と言ってもワケがわからないだろうなあ。
そこにX-Yプロッタという機械をつないで、ペンを動かしてグラフを描くのだ。
あとでそのグラフを鉛筆と定規でトレースして、報告書にする。

当時、日本に数台しかない機械…ということだった。
昭和50年当時にしたら結構な投資だったんだと思う。

まる2年ちょっと、その機械のお世話になった。

週のうち半分はIMVを動かして、振動を解析していた…といってもワンパターンの使い方だったし、測定の意味もわかっていなかった。意味がわかったのは、そこからさらに数年後くらいだったか。
でも、かなりその機械とは仲良くなった。何せ最初は測定を始めるための調整(キャリブレーションという)だけで半日以上かかっていたのが、30分くらいでできるようになったのだから…。
当時、IMVは重々しく測定室のど真ん中に鎮座していた。
そうこうするうちに、別の部署がアメリカで設計されたデジタルの測定器を買って、その便利さに驚いた。
1980年代に入って、時代はどんどん進み出した。

結局ぼくがその仕事を離れてから1年ほどして、IMVはデジタルの最新機器に置き換えられた。
それからは、誰でもが使える機械になって、測定する日の朝にわざわざ電源を入れることもなくなったし、すぐにテストできるし、夕方X-Yプロッタのグラフを実験室から事務所に持って上がって残業でトレースする手間もなくなった。

あの機械はなつかしい。
気むずかしい友達みたいなものだ。
会社に入って、最初に苦労させられた仕事だったが、ワケもわからずつき合っていた。

奥行きが80センチくらいはあったと思う。結構な場所を取っていたのだ。
IMVが撤去された測定室はすごく広くなって、便利でキレイになった。

デジタル化され、便利で使いやすくなるのはいいことだと思う。

でも、アナログも捨てがたい。
世の中の現象は全てアナログなのだから、0と1で割り切れるものではないのだ。

IMV、なつかしい名前だ。

知る人ぞ知る…のだが、ほとんどの人は知らないだろうなあ。




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