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2021.01.07 Thursday
クリスマスというキラーコンテンツ
日本ではミッション系の大学はわりと人気がある。
逆に仏教系はあまり人気がない。 結婚式もチャペルが人気だという。 結婚というおめでたい席では、仏教は影も形もない。 日本は、世界でもキリスト教徒が少ない国なのに、どうしてなんだろうと思っていた。 年末の記事にも書いたが、ミッション系のクリスマス・ミサというのを見たら、何となくそれがわかった。 チャペルで賛美歌を歌っているところを見ると、厳かな感じが伝わる。 最後に「きよしこの夜」を歌うのだ。 キリスト教はほとんど浸透していないが、クリスマスは浸透している。 家の宗旨が仏教でも、クリスマスを祝わない家はない。 ツリーを飾り、家に電飾までしたりする。 ぼくのいた仏教系の大学では、学生課にクリスマスツリーが置かれていた。 法人からは文句が来たが、そんなものはかまっていられない。 子どもらは、ある年齢までサンタクロースがいるのを信じている。 アメリカのドラマを見て、キリスト生誕のクリスマスの劇を知っている人も多いだろう。 一方、仏教の花祭りなど、ほとんど知らない。 江戸時代はキリスト教は禁じられていたし、明治になってもそれは続いたらしい。 でも、1900年代に入って、クリスマスプレゼントやサンタクロースがだんだんと浸透した。 主に日露戦争が終わった頃から盛んになったという。 大正天皇がクリスマスの日に亡くなって、翌年から12月25日が祭日になったのも大きかったようだ。 昭和に入って、日華事変が起こる頃までは盛んに祝っていたらしい。 戦時中はもちろん禁止されたが、敗戦後はさらに盛んになった。 クリスマスというのは、もともとキリスト教の儀式ではないが、これを関係づけたのがえらかった。 日本のような一般的に宗教とは関係の薄い国でも、クリスマスは祝われる。 本家アメリカではメリー・クリスマスという挨拶はハッピーホリディに変わってしまったが、日本ではまだまだ現役だ。 ローマ時代からの儀式だから、もうキリスト教とは分けられない。 これが日本でキリスト教的なものを一般に広げたのだろう。 ミッション系の大学、というのが一般の人たちにすっくり受け入れられる下地を作った。 大学だけではない。幼稚園や小中学校もある。 布教を目的として作っても、日本人はキリスト教には入らない。 でも、キリスト教的な部分はクリスマスを通じて、仏教よりも神道よりも広まったと思う。 結局、クリスマスはキリスト教のキラーコンテンツだったのだ。 仏教にとってのキラーコンテンツが葬式であるように…。 |
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