考えたこと2

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しんきくさい
「しんきくさい」という言葉は最近あまり聞かない。
関西弁だと思うが、だんだんと死語になってきているのかもしれない。

Webの辞書を調べてみたら、「思うようにならなくて,じれったい。気がめいってしまうさまである。」という意味が書いてあった。
ぼくの感覚ではじれったいというよりも、気が滅入る、という感じだ。
同義語に「お通夜のような雰囲気の」というのがあった。
まあ、そんな感じだろう。

東京に引っ越した次男に、家内が「あの頃のまま」というブレッドアンドバターの曲のリンクをシェアしたらしい。
以前、この曲の歌詞について書いた。
若い頃のユーミンらしい、当時の雰囲気をよく表している曲だ。

それを聞いた次男が「しんきくさい」とコメントした。
たしかに、あの歌詞をしんきくさいと思う気持ちはわかる。
今の若い人から見れば、なにをウジウジしてんねん、という感じだろう。

あの曲が出たのが1979年。
学園紛争がほぼ収束し、学生の間にはある種の白けた雰囲気があった。
当時の大学の数は450程度で、今は780くらいあるから、大学の数が約6割。
18歳人口が当時は155万人で、今は120万人くらい。
つまり「あの頃のまま」の世界は、大学の数が今の半分くらいで、それでいて18歳の人数はいまより多いという、「受験戦争」の時代だった。
その時代に、学生運動という、今から思えば「結果としては何も生み出さず、単にバカバカしいことにうつつを抜かしていた学生たちの残党を歌った歌」ということになる。

あの歌の「ぼく」は就職もせず、社会の歯車になるのを拒否して、夢を追いかけている、というような存在。
今の学生は2回生で部活を引退し、3回生から4回生は就活という状況。
そんなにのんびりしている暇はない。

苦労して入った会社を3年以内に辞める率が3割から4割。
学校と社会の差が開き、世代間の意識の差も開き、ギャップに苦しんでいる。
増えた年寄りが社会保障で若者を苦しめる。
若い人たちは、今の日本をもっとまともにしてくれ、と思っているのだろう。

そういう今の若い人たちから見れば、それこそ「なにやっとんねん」ということになるだろう。
まさに、「しんきくさい」ということになる。
グダグダ言うとらんと、はよ働け、ということだ。
そんな夢物語が言えたのも、高度成長の時代の幕開けで、景気が良かったからだ。

今ならそういうことだろう、と思える。
あの頃の空気を知っていれば、いい歌なんだが…。


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