考えたこと2

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おいとまする
この言葉もあまり聞かなくなった。
帰る時に「おいとまします」という挨拶。
ぼくらの世代はテレビなどで聞いたことはあるが、あまり使わないような気がする。
東京の山の手の言葉というイメージだ。
今なら「失礼します」という感じだが、それより上品なニュアンス。
誰かの家を訪問して、食事の時間が迫り「ぼちぼちおいとまします」というふうに使うのが一般的。

「おいとま」というのは漢字で「お暇」と書く。
クビにすることを「いとまをとらせる」と言ったりもする。
時代劇の世代の言葉かな。

「いとま」というのは文字通り「暇」のことで、「何もすることがない時間」という意味らしい。
そこから転じて、「おいとまします」というのが「お別れする」という意味になった。
別れてしまったら、何もすることがない、ということだろうか。

「いとまごい」という言葉もある。
漢字で「暇乞い」と書くが、これは「もう二度と会えない」というような感じの別れの挨拶だ。
時代劇の記憶では、切腹する侍が許されるのが「暇乞い」だったような気がする。
死ぬ前に何か言っておきたいことがあれば、ということだ。

ちょっと意味は違うが、「枚挙にいとまがない」の「いとま」も何もすることがない時間という意味だろう。
枚挙しっぱなしで、休みがない、ということだ。

何となく優雅な響きがある「おいとまします」。
こういう日本語も消えていく運命か。
でも、この世から消えて亡くなる時には、「失礼します」ではなく、「おいとまします」の方がしっくりくる。

フランス語には「さようなら」という意味の「Au revoir(オボワ)」という挨拶の他に、「Adieu(アデュー 天国で会おう)」という今生の別れの挨拶もある。
ぼくには「おいとまします」は、何となくそういうニュアンスが感じられる。

この世からぼちぼちおいとまして、あの世に行きます、という感じ。
別に「失礼します」でもいいのだが、ちょっとこだわりがある。

やっぱり優雅に亡くなりたいではないか。

| | 考えたこと | 23:34 | comments(0) | trackbacks(0) |