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2010.02.27 Saturday
浅田真央のチャレンジ
浅田真央は今回大会でただ一人、3回転半のジャンプができるらしい。
過去には何人かいるらしいが、それをショートやフリーのプログラムで浅田ほど飛んだのは世界初ということだ。 対するキム・ヨナは、3回転−3回転のジャンプが決まって、ミスのない演技で勝った。 個人的には007の音楽がよかったのだろうと思う。 しかし、ジャンプ一つとっても、ルッツとかフリップとかトーループとかアクセルとか…、フィギュアスケートも難しくなった。 ルールや採点が複雑でわかりにくい。 何でも、トリプルアクセル(3回転半)とダブル・トゥーループの組み合わせは、トリプル・トゥーループを2回やるのよりも、基礎点が低いらしい。 これを専門用語で書くと、3A+2Tの基礎点は、3T+3Tよりも低い、という表現になる。 しかし、難易度は3A+2Tの方が高い、というのが一般的であるようだ。 三回転半のジャンプは、今回のルールではリスクが大きく、リターンが少ない、と言える。 もちろん、それを成功させるための練習のおかげで、他の練習ができず、他の演技を犠牲にするという事も含めてだ。 こういう細かいルールがあるので、戦略が必要になってくる。 基礎点の高い技でミスするくらいなら、基礎点の低い技でも回数を重ねてやるとか、技の中で基礎点と難易度の組み合わせでポイント・パフォーマンスの高いものを選ぶとか、そういう戦略だ。 それが3T+3Tという選択になる。これがキム・ヨナがやった技。 そういう意味で、キム・ヨナの戦略勝ちだと思う。 もしも、今回のルールが3A+2Tの基礎点が難易度に応じて高い、ということになっていたら、浅田が勝っていただろう。 浅田がこだわった3Aはリスクが大きく、今の身体の大きさからしても、難しいものなのだ。 体重が500gr変わっただけで、3Aのジャンプの感触が変わる、というくらいだから、ギリギリの身体能力を使っているのだと思う。 しかし、五輪が世界一というものを決めるという事なら、浅田は三回転半のジャンプを飛ばないといけない。 なぜなら、浅田は三回転半のジャンプを飛ぶことができるからだ。 浅田がこだわった、というよりそうしないといけなかったのだろう。 池田晶子が書いていたが、天才とは自分に与えられた才能を使ってしまう人だ。 それを使わずにはいられない。 だから、浅田のチャレンジは、天がそうさせたものだ。 そして、そのチャレンジは成功した。 ショート、フリーの演技で3回のトリプルアクセルは、史上初。 細かいルールの基礎点など、どうでもいいではないか。 浅田よ、胸を張れ。 君は世界一だ。 ぼくはそう思う。 |
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