![]() |
2022.07.12 Tuesday
運と縁
この季節、一部の学生は複数内定を取って迷う時期。
多くの学生は、内定を取りたい一心で就活をするのだが、いざ複数内定を取ってどちらの会社に行くか迷い始めるともっと苦しいという。 それはある意味真実だと思う。 内定を取るまでは就職は遠い彼方の物語だが、内定を取ると現実が迫ってくる。 心配の質が変わるのだろう。 昨今は就活が早期化して内定が早く出るから、余計に心配する時間が長くなる。 ぼくらの頃のように、4回生の10月が内定日で、内々定などという言葉がなかった頃は気楽だった。 今年などは卒業の1年以上前に内々定という学生もいる。 そういう学生は、活動中の学生からみると羨ましい存在なのだが、逆に自分はここに決めていいのだろうか、と回りの就活生を見て焦りだしたりする。 今年のように、インターンといってもほとんどオンラインだったりすると、実際に会社の内容がわからない。 だから、余計に心配になる。 人事の方もわかっているから、何とか内定者を引き留めようといろんなイベントを組む。 社員との座談会や会食、職場見学など、リアル、オンラインを織り交ぜて大変だ。 そんなことをするくらいなら、早期に内々定など出さなければいいのだが、少しでも優秀な学生を取りたいと思うと、そういうわけにもいかない。 しかし、学生にとってはどれだけ考えたところで、実際に仕事をしたことがないのだから、合っているかどうかなどわかるわけがないのだ。 さらに、いくら「いい会社」に入ったところで、自分の配属先の上司や先輩がどうしようもない人だったら、自分にとっては「いい会社」ではない。 でも、大きな組織なら今はコンプライアンス室もあるし、異動もあるのでまだマシか。 一番悲惨なのは社長のプレゼンなどを見て、志に燃えて社員数十人のベンチャーに入社したものの、入ってみたら全く違ったというようなケース。 無理をして行こうとすると、身体的に症状が出て無理だったりする。 卒業生がそういう相談に来たら、まず無理して行くのをやめようという。 企業側も本当は志望動機など聞いても仕方ないと思っているのだろう。 実際に仕事もしていないのに、何がしたいかなどわかるわけがない。 それでも、どれだけ自社に入りたいのかを確認するためにそれを聞く。 結局は、それが思い込みにつながり、仇になる。 ぼくは会社に入って、上司や仲間に恵まれたと思う。 でも、それは単に運が良かったのだと思う。 ある時点以降は、自分の働きが仲間を呼ぶという面もあった。 しかし、結局は仕事は「運と縁」なのだ。 キャリア論でも「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」という理論があって、大真面目に仕事は「運と縁」だと言っている。 アメリカ人のクルンボルツという人が提唱しているのだが、考えは仏教的だと思う。 この理論は数あるキャリア理論の中でも、確からしいものだ。 だから、学生には最後の最後は「運を信じてみよう」と言うことにしている。 |
![]() |