考えたこと2

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キャリアポルノ
キャリアポルノという言葉、初めて聞いた。
いつも見ている元小学校教員の中沢氏の記事に出てくる。
「キャリアポルノと化す大学」という題名。

「キャリアポルノとは、意識が高い人が陥る、自己啓発やビジネス本にはまって人生の貴重な時間を浪費する所作のことです」と中沢氏は書いているが、ググると「キャリアボルノとは自己啓発本のこと」とあった。
つまり、たくさんある自己啓発本にハマって、それを読むことに時間を使い、肝心の自分のキャリアを阻害してしまうこと、という感じなのだろう。

本屋に行くと、昔とは比べ物にならないくらいたくさんの自己啓発本が並んでいる。
昔は有名な人でないと、自己啓発できなかった。
カーネギーの「道は開ける」だったか、実家にあったなあ。

あるいは、松下幸之助や井深大、本田宗一郎などビジネスで成功した人たちが、その考えを書くというのもあった。
成功しているから、啓発できるのだろう。

翻って今の自己啓発本は全く知らない人が書いている。
少なくとも、会社を起こしてそれが世界規模の会社になった、というような人はいない。
アマゾンの自己啓発本の上位の著者は、心理カウンセラーやコピーライターなどの肩書。
なんとなくお手軽な自己啓発という感じだ。
きっと読みやすいのだろう。

中沢氏は、今の大学のキャッチコピー(受験生向けの宣伝のためのもの)について、こんなことを書いている。

「だいたい大学のキャッチコピーが、学生の承認欲求を刺激して、ただでさえ自我が肥大化している現代の若者たちを煽りに煽っています。「ぼくらは、ただの普通じゃない」とか「固定概念を、ぶっ壊す」とか「大学名だけの奴には、負けたくない」とか。

大学に入ってからも、教授が「自分の頭で考えろ」とか言って、私たちのようにろくな頭もないのに、本も通読したこともないのに、無理矢理考えさせられます。高校生までは、受験という没個性的な戦いに打ち込んでいたのに、大学に入ると承認欲求がないと生きていけないように教育されてしまいます。さも、世界の主役かのように。」

ぼくもそう思う。
いろんな大学がパンフレットを出しているが、その中にあるのが「この学部にいけば、こういう職業につける」という就職絡みのページ。
そこを見ると、たいがい「こういう資格が取れる」とあって、その関連の職業が載っている。
実際にはほとんどの卒業生が「サラリーマン」になることはわかっているのに、この学部で勉強したら「一般企業に就職できます」などというコピーはない。

中沢氏が言うように、今の大学は受験生の承認欲求を刺激して煽っているのだ。
でも、普通の人は普通に就職するしか出口はない。
アタリマエのことだ。
こないだ書いた「理想中毒」にしても、同じこと。
それを授業でやっている人もいる。

就職の仕事をしているとき、学生が来て、卒業後は留学したいと言ってきたことがある。
どこに留学するのか?と聞くと、この研究をするにはケンブリッジが一番いいと先生が言ったから、ケンブリッジにしたいという。
英語が堪能なわけでもなく、成績が優秀なわけでもない学生だ。
まともに相談にのるのがバカバカしいほどのものだが、それでも、ケンブリッジ大学というのはどういう大学か説明し、まずは英語を勉強してから考えようと話した覚えがある。
そういうことを吹き込む教員もいるのだ。

形は違うが「世界に一つだけの花」の世界だ。
だれでもオンリーワンなど、ちゃんちゃらおかしい。

就活というのは等身大の自我を見つめ直して、そのいいところを見つけていく作業でもある。
それを阻害するのが、キャリアポルノである授業であったりする。

そういう先生にあたった学生は気の毒だと本当に思う。


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