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2019.11.30 Saturday
MIはマテリアル・インフォマティクス
ほぼ30年の長期停滞の中で、日本の家電産業は凋落した。
80年代はたくさんのメーカーがあったが、潰れたり、撤退したり、買収されたりして、だいぶ縮小したと思う。 懐かしいのは、ステレオのブランド。 ソニーはソニーだったが、松下電器(現パナソニック)のテクニクス、東芝はオーレックス、三菱はダイヤトーン、日立はローディ、サンヨーのオットーなど。 その他にもトリオ(現ケンウッド)、サンスイなど小さくても光るメーカーもあった。 今から思えば、この頃が日本の家電の最盛期だった。 大きかったのはデジタルになったこと。 アナログレコードがデジタルのCDに変わり、今やデーターになった。 ネットの発達で、それがストリーミングで月額いくらで聴き放題という状況。 そうなると、音楽を聴くという行為が「特別な時間」から、「日常」になって、音楽がある生活が当たり前になる。 そして、パソコンやタブレット、スマホがステレオの代わりをするようになった。 今やヘッドフォンや安価なブルートゥーススピーカーが売れている。 それと同時に、日本のステレオのブランドも消えていったと思う。 最近テクニクスが復活したが、超高級路線になっている。 結局、成功体験にしがみついて、ネットとデジタルの変化に乗り遅れたんだろうなあ。 そういう風にして、消えてなくなったものもあるが、まだ強いものもある。 アナログの部品だ。 モーターやコンデンサーなどは強い。 それと素材関係。 ディスプレイの偏光フィルムや炭素繊維なども強い。 しかし、この手のものは大きなイノベーションがあると、陳腐化も早い。 そのために、MI(マテリアル・インフォマティクス)という分野が広がっている。 これは既存の素材を置き換える材料を探す技術。 過去の材料データーなどから、新たな材料になるべき素材を推定する技術だ。 既存の素材メーカーは、自社で過去のデーターを持っているが、それはMIのデーターとして強みになる。 MI自体は情報科学という分野。 コンピューターを使って効率的に新しい材料を考えるものだ。 こういう技術は中国が力を入れている分野だろう。 だんだんと数少なくなった日本の強み。 これは守っていかないといけない。 そのためにも、情報科学の分野の技術者を産み出さないといけない。 そういう思いは文科省や今の大学にあるんだろうか…。 |
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