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2019.06.23 Sunday
チューリングテスト
アメリカのAIロボット(と言ってもおもちゃだが)を作っている会社が倒産したらしい。
会社はAnkiという。 作っていたのはCOZMOという製品で、手のひらに乗る大きさのブルドーザー型のAIロボット。 目の表情と音で人間とコミュニケーションする。 日本でもタカラトミーが売っていて、2万6千円程度。 人間とゲームをして遊ぶことで親しくなれる。 おもちゃにしては高いが、アマゾンのイギリスとフランスでは玩具部門のベストセラーになったこともある。 Ankiは今年の5月1日に廃業した。 新たな資金調達のめどが立たなかったのが原因だ。 声明文によると、「多様なAIロボットによる未来を構築するには多額の資金が必要で、そのためのあらゆる財務手段を追及したが、資金調達で投資家との合意に達することができなかった」とある。 Ankiが目指していたのは、何かの役に立つロボットではなく、人間の相手になれるロボット。 そういうものを研究・開発しようとすると、お金が要るんだろう。 また、その価値をなかなか測れないし、お金を出すのには勇気がいる。 第二次大戦中に現在のコンピューターのもとを作った数学者、アラン・チューリングは、人間が会話のテストをして、本物の人間と間違うようなものが、「人工知能」だと言っている。 それが「チューリングテスト」。 人間の役に立たないロボットづくりは難しい。 それを目指したのがAnkiだったということだ。 そういう状況を見ていると、なかなかぼくがほしい「話し合いロボット」は出てこないと思う。 ぼくは若い頃毎日車に乗っていた。 タイヤのテストをしていたのだが、当時はテストコースに車を運ぶという仕事も兼ねていた。 一日一人で運転していると、とにかく眠くなる。 ラジオを聞いたり、ラジカセを持ち込んで音楽をかけたりしても、どうしようもない時がある。 そんな時に一番有効なのが、誰かと話をすることだった。 単調な運転という作業だけでは、脳は退屈する。 だから眠くなるのだと思う。 たまに2人乗りで行くことがあったが、そういう時は眠くならない。 会社の中のことで、話題はつきないから、話すことはたくさんある。 それで脳が起きるのだ。 車に乗った時に、「今日は調子はどうですか」とか、「目的地はどこですか」とか話しかけてくれると、不注意の事故も減ると思う。 もちろん、ただそれだけならダメだ。 会話を続けないと意味がない。 そこからは、人工知能の領域だ。 「ちょっと調子が悪いんやけどなあ」などと言ったら、「どうしたんや」と返す。 そこから先はどうなるかわからない。 そういう会話ができるロボットは、直接人間の役には立たないが、間接的にきっと役に立つ。 でも、それはまだまだ難しいということだろう…。 |
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