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2006.02.24 Friday
タイムスリップ
昼から出張で、学生時代に下宿していたところの近所に行ったので、そのあたりをうろついてきた。
下宿のあった場所はパーキングになっていて、クルマが止まっていた。 かろうじて、大家さんの店(酒屋)は残っていた。 道を挟んで向かいにあった市場は消えて、大きなスーパーができていた。 通っていたお風呂屋さんはなくなっていた。 よく行った中華料理屋はパチンコ屋になっていた。 市電のレールが無くなって、すごく道が広くなって、架線が無くなった分、空が広くなっていた。 昔、お金をおろしに行った銀行は、第一勧銀からみずほ銀行に変わってキレイになっていたが、残っていた。 ほとんど、変わってしまったなあ、と思いながら細い道を歩いていると、そこにそれはあった。 道の脇に、ユニオンジャックの看板があって、RINGOと書いてある。 ちょうど僕らが卒業する少し前に開店した店だ。 道から階段を降りて、地下一階に小さいドアがある。 ビートルズしかかけない店だった。 向かいに先輩の下宿があったので、通った店だ。 思わず立ち止まって、階段を降りて、ドアをあけると、うす暗い店内にはビートルズのポスターやレコードジャケットが飾ってある。 カウンターにすわって、コーヒーを頼み、マスターと少し言葉を交わした。 「仕事で近くまで来たので、うろうろしたけど、このあたりは30年ほど前と全然変わってますね、でもここだけは残ってましたね。30年ほど前に通ってました。」 「そうですか。ありがとうございます。」 昔と同じく、暗い店内でもサングラスをかけたマスターがお礼を言ってくれた。 今でも、ビートルズしかかかっていない。 コーヒーを飲む20分間ほど、時間が止まっていた。 コーヒー代を払うときに、今でもビートルズしかかけないんですね、というと、そうですよ、という言葉が返ってきた。 20代の頃に、タイムスリップした。 今の自分からは、想像できないが、自分にも20代の頃があった、という事を実感した。 そんな実感を持つチャンスはなかなか無い。 あと10年たっても、RINGOは残っているのだろうか…。 その時にも、自分の20代の頃を実感できるんだろうか…。 そんなことを考えた。 マスター、がんばってお店を続けて下さい。 |
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