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2017.02.15 Wednesday
今生の別れ
こないだ電車に乗っていたら、若い人が「今生の別れ」と言ったので驚いた。
言われたのは、ぼくのとなりに座った男性。 言ったのは、前に立っていた女性。 大学の先輩、後輩の間柄だろう。 よく考えたら大学4回生は後期試験も終わって、あとは卒業式だけ、という状態か。 そういうシチュエーションだとは思わなかった。 きっとゼミかクラブで送別会があったんだろう。 下宿の人はもう引き払って、卒業式だけ出るという人も多い。 クラブはもう引退しているし、たしかに今会っている人ともう二度と会えないという状況。 話しぶりでは後輩の女性は六甲で下宿、先輩の男性は大阪の実家から通っている。 聞くとはなく2人の会話を聞いていた。 ずっとたわいない世間話だったが、あと2駅を切った頃から別れの会話になってきた。 後輩が、ひょっとしたら、これでもう一生会えないのかな、と言う。 先輩が、まあ、そうかもしれんなあ、と返事。 ここで「今生の別れ」という言葉が出た。 よくそんな言葉知ってたなあと感心した。 ここ1ヶ月は別れの季節。 それでも、またご飯行きましょね、と言って降りていった。 そんなに親しくなかったのかもしれない。 残された先輩はスマホを見ていた。 あとから考えると、あの会話が最後だったといことになる。 そして、そのことすら忘れてしまう。 若いということはそういうことだ。 無限の未来を信じている。 ぼくもそうだった。 もう二度と会えなくなることが、別にどうということもなかった。 今ならわかる。 |
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