考えたこと2

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主観的価値
今日は学生時代の友達のI君に会った。
I君とは、下宿に入りびたりで、文字通り同じ釜の飯を食った仲間である。
3年間ほどのつき合いだったが、本当に多くの時間を過ごした。

その彼が、色々と事情があって、自分の本を売らなければならなくなったとのこと。
置き場所の問題である。
本の好きなやつなので、きっと、売る本を段ボールに入れる時には、色々な思いがあっただろうな、と想像する。
選別作業は、事務的には行えないだろう。
売る方にいったん入れた本を、戻してみたり・・・そんな事があったハズだ。

その思いが詰まった段ボール箱をいくつか持って、ブックオフに売りに行ったらしい。
彼が言うには、買い取り価格のマニュアルがあって、何年か以上前の本は安くなるのではないかとのこと。

結局彼の段ボール何箱かの本は1冊5円になってしまった。(ほとんどが10年以上前の本だったらしい)

その時一緒に、彼の息子が持っていった、新しいマンガの単行本はなんと1冊400円で買い取りとのこと。

息子には、「お父さんの本80冊で、ボクのマンガ1冊と同じか」と言われたらしい。

「聞いてくれるか?オレの本80冊でマンガ1冊と同じやで・・」ということになった。

彼の複雑な気持ちはよく分かる。
ほこりだらけになっていたり、ちょっとページが茶色になっていたり、折り目がついていたり、少し破れていたり・・・いろんな不具合があったんだろう。
客観的にみれば、古いものは古いし、キタナイものはキタナイのだ。
よほどの希少価値がない限り、時間的な劣化は、モノの価値を下げる・・・これは仕方ないことだ。
新しいマンガは、高くても買い手がつくだろう。だから400円でも買い取れる・・・これも当たり前か。

でも、彼の持っていた主観的な価値は、「そんなアホなことないやろ」と言いたかったんだろう。

自分が読んで、知識を得たり、感動したり、あるいはその本の背表紙を見るだけで、その時代を思い出すような、そんな主観的な価値があった。
悲しいことだが、その価値は、持ち主にしかわからない。主観的な価値だから。

「ふ〜ん、そうやったんか」と話を聞きながら、いつか僕も同じような思いをするんだろうな、と思った。
置き場所の問題だ。
でも、聞いておいて良かった。少しは心の準備ができたから。

持つべきものは友、こんな時に使うと失礼か・・・。


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