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2023.11.10 Friday
走る凶器
昭和の時代、交通事故が多かったころ、自動車は「走る凶器」と言われた。
内閣府の資料で、交通事故死傷者数を自動車保有台数1万台当たりでみると、昭和43年の619.8人から、一貫して減少を続け、平成3年には130.6人になって、29年には71.3人という数字。 自動車の関係する死傷者はほぼ9割減ったということだ。 おそらく、これからも自動車の安全装備は進歩し、死傷者は減少すると思う。 技術の進歩や道路の改修などで、死傷者は激減したのだ。 ぼくが最近歩道を歩いていて怖いと思うのは、電動アシスト自転車だ。 みていると、アシストしないで自走しているものもある。 明らかに原動機付自転車(原付)を同じものだ。 当初はアシスト率と速度が決まっていて、24km/h以上はアシストしない、ということになっていた。 それは今も変わらないが、明らかに規格を外れたものもある。 規格では、 ・搭乗者がペダルをこがないと走行しない構造であること ・アシスト比率が人の力:電動力が最大で1:2であること ・24km/hまでアシストしそれを超えるとアシスト機能を停止すること などが定められている。 規格外れのものは、当初は売っていなかったと思う。 国産のヤマハとパナソニックあたりのものだけだった。 ところが、通販で業者が増えたのと、国産に対して安い外国製(主に中国?)が入ってきて、おかしくなったように思う。 国民生活センターでインターネット通販されている電動アシスト自転車を調べた結果、 「10銘柄中9銘柄でアシスト比率が道路交通法の定める上限値を超え、基準に適合していなかった。うち6銘柄は、その上限値を大きく超え、人の力をほとんど要さずに一定の速度まで加速していた」 「10銘柄中7銘柄には押し歩き補助機能と類似した機能が搭載されていたが、いずれも乗車した状態で作動してしまい、基準に適合していないと考えられる。 表示についても調査しており、すべての銘柄で、購入した販売サイトに、自転車として道路の通行が可能である旨を明示、もしくはそれをほのめかす表現があった。 3銘柄の取扱説明書には、24km/hを超えるアシスト機能を停止する速度が記載されていたほか、その速度の変更方法に関する記載があったという。国民生活センターが公開した実験動画では、44km/hまで達し、「原付きより速い」という事例も紹介している。 また、すべての銘柄にバッテリーとバッテリー充電用の充電器が付属していたが、7銘柄では電気用品安全法のPSEマーク等が正しく表示されていなかった。」 ということだった。 誰がどう考えても、法規に適合しない製品を売っている。 昭和の時代に「走る凶器」といった言葉を作ったマスコミは、今度は電動アシスト自転車に対してその言葉を使ってほしい。 実際、どう見ても高齢で反射神経も鈍っている年寄りが、そんな自転車に乗って歩道を走っていると、本当に走る凶器だと思う。 そんなものに乗っているから、ヘルメットが必要なのだ。 国土交通省や警察はどうなっているのかと思う。 |
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