考えたこと2

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暗記すること
ネットを見ていたら、面白いことが書いてあった。
「暗記の必要性」に関するもの。
以前から、「今は検索すれば答えは出てくるのに、どうして覚えるのか」とか「これからは覚えることはコンピューターに任せて、人間は考えることをやらないと」とかいう話がある。
その延長上に「アクティブラーニング」という言葉があって、文科省はこれにご執心だ。
そのせいで、教育界では「アクティブラーニング」が大流行。

ぼくの邪推だが、これをやると先生は楽になる。
授業の大部分が「話し合い」になるからだ。
小学生や中学生に課題を示して、いきなり「話し合い」をしても何も出てこない。

Fランクの大学でも同じこと。
以前読んだ「Fランク化する大学」という本にも、こう書いてあった。

「学生から聞いた2つの例を紹介する。1つは「講義をしない講義」として有名なものらしい。50人程度の履修者の授業だが、まず教員がはじめに簡単に今日のテーマを話し、その解説を行う。次に50人の学生をいくつかのグループに分け、そのテーマについてディスカッションをさせる。次に各グループから出た意見を発表させる。教員が最後に意見を述べて、講義は終了となる。
 グループによるディスカッションがムダであるとは思わないし、学生に意見を発表させることも大切かもしれない。しかし、それは、ある程度の基本的な講義を行い、学生に基礎的な知識や情報を提供したうえでの話だろう。たとえば3回程度の講義を経たうえで、4回目にディスカッションをするということであれば理解もできる。
 大学で講義を行ったことのある経験者として言わせてもらえば、知識がないままで学生が議論をしても、ほとんど何も出てこない。学生がもとから持っている少ない知識や感覚だけで議論をし、抽象的な空論に終始することになってしまう。
 ちなみに、この講義を受けていた学生に感想を聞いてみたところ「役に立っているとは思わない。だけど、友だちと話してそれで終わりだから、ラクに単位が取れていい」そうである。」

どれだけの先生が「アクティブラーニング」の危険性に気がついているのだろうか。
あの東須磨小学校の体たらくを見ていると、教員は「楽でいい」くらいに思っているような気がする。
本当に実力のある教員にしか「アクティブラーニング」はできない。
ハーバードの「サンデル先生の白熱教室」のやり取りを見ているとよくわかる。
教員の問題意識の量が圧倒的でないとあんな講義はできない。

大学生から「ネット検索で済むのに、なぜ暗記するのか?」と聞かれた教授はこう答えたらしい。

「お前は教習所の教科書を見ながら車を運転するつもりか。歩く速度ならそれで問題ないが、変化が速い時代に知識がないなど論外だ」

素晴らしい回答だ。

検索して初めて分かるのと、最初からそれを理解して覚えているのでは天と地ほど違う。
だいたい、検索をするにしても、効率的な検索ワードを入れるためには周辺の知識が必要だし、「検索したらわかる」という言い方自体が無茶なのだ。

実際、認知心理学の研究者がいろんな国で「話し合い」の効果を確認したところ「みんなで話し合うと無能な者に引きずれられる」とい効果が確認されたとのこと。

だから、「すべての授業でアクティブ・ラーニングを取り入れて、議論をさせています」というような学校には行かないほうがいい。





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