![]() |
2019.06.10 Monday
追悼 田辺聖子
田辺聖子が亡くなった。
30代の頃だったか、実家で「もと夫婦」という文庫を何気なく借りて、この人の魅力にとりつかれた。 文庫しか持っていないが、相当買った。 「花狩」「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)」「私の大阪八景」「甘い関係」「女の食卓」「猫も杓子も」「女の日時計」「貞女の日記」「もと夫婦」「あかん男」「窓を開けますか?」「求婚旅行」「すべってころんで」「おせいさんの落語」「言い寄る」「無常ソング - 小説・冠婚葬祭」「夜あけのさよなら」「ほとけの心は妻ごころ」「うたかた」「夕ごはんたべた?」「愛の風見鶏」「朝ごはんぬき?」「妾宅・本宅 - 小説・人生相談」「私的生活」「隼別王子の叛乱」「浜辺先生町を行く」「お聖どん・アドベンチャー」「中年ちゃらんぽらん」「孤独な夜のココア」「愛してよろしいですか?」「魚は水に女は家に」「スヌー物語 - 浜辺先生ぶーらぶら」「蝶花嬉遊図」「オムライスはお好き?」「姥ざかり」「しんこ細工の猿や雉」「お目にかかれて満足です」「苺をつぶしながら - 新・私的生活 -」「返事はあした」「ダンスと空想」「姥ときめき」「ジョゼと虎と魚たち」「嫌妻権」「姥うかれ」「不倫は家庭の常備薬」「よかった、会えて ユーモア小説集」「おかあさん疲れたよ」「鏡をみてはいけません」「ほどらいの恋 お聖さんの短篇」「女の目くじら」「女の長風呂」「言うたらなんやけど」「女が愛に生きるとき」「続・女の長風呂」「イブのおくれ毛」「籠にりんご テーブルにお茶…」「ラーメン煮えたもご存じない」「ああカモカのおっちゃん」「欲しがりません勝つまでは 私の終戦まで」「大阪弁ちゃらんぽらん」「芋たこ長電話」「おせいカモカの対談集」「女の居酒屋」「苦味を少々 399のアフォリズム」「いっしょにお茶を」「女の口髭」「女の幕ノ内弁当」「大阪弁おもしろ草子」「川柳でんでん太鼓」「乗り換えの多い旅」「ナンギやけれど… わたしの震災記」「楽天少女通ります 私の履歴書」「女のおっさん箴言集」「人生は、だましだまし」「残花亭日歴」「田辺写真館が見た"昭和"」「おせい&カモカの昭和愛惜」「舞え舞え蝸牛 新・落窪物語」「新源氏物語」「絵草紙源氏物語」「私本・源氏物語」「むかし・あけぼの 小説枕草子」「道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代」あたり。 全部で70冊以上。 この人には、小説の楽しみを教えてもらった。 昭和の世相を含んだ恋愛小説の名手。 朝ドラで藤山直美が演じた「芋たこなんきん」も懐かしい。 とにかく読みやすい本を書く。 短編もうまくて、もう一つ、もう一つと読んでいるうちに終りが来る。 「求婚旅行」や「ラーメン煮えたもご存じない」「オムライスはお好き?」「ダンスと空想」などの長編も時間を忘れて読んだ覚えがある。 「おかあさん疲れたよ」で描かれた大阪大空襲や、「楽天少女通ります」の自伝など、昭和史を生き生きと描いている。 こういう小説があるから、歴史は残るのだと思う。 そして、源氏物語。 この人が訳してくれたから、その部分を読んだとも言える。 あの高校時代に習った、誰が喋っているのかわからないような紫式部の文章を、上手に現代文に訳してくれた。 世界最古の長編小説。 日本人として、誇らしい小説だということがよくわかった。 一作家としては、一番たくさん本を持っている。 最近は本屋に行くことも減ったし、「田辺聖子」の文字を見ることもほとんどなくなった。 この5年くらいは著作はお休みだったようだ。 大阪弁の表記法も学ばせてもらった。 昭和の大作家が一人いなくなった。 ほんとに残念。 合掌。 |
![]() |