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2019.05.23 Thursday
1年目の壁
フェンダーのCEOはいろんな取り組みを始めている。
ギター人口を何とかして増やそうとしているのだ。 そのために、いろんな調査をしている。 その結果がウォール・ストリート・ジャーナルに出ていた。 有料記事なので、リード文とちょっとだけしか読めないが、なんでも「私たちが毎年販売するギターの約45%は初心者向けで、その90%は1年目で断念する。」ということらしい。 この90%という数字にはビックリだ。 そんなにギターをやろうと思う人が多いとは思わなかった。 アメリカと日本の違いはあるが、今弾いている人は、少なくとも1年目の壁を超えた1割だということになる。 たしかにぼくがギターを始めた中学生の頃、同じクラスの女子がFのコードが押さえられない、と聞きに来たことがある。 弦は6本、指は(親指がネックの裏側なので)4本しかないから、不可能だ、ということだった。 同じ指で1弦、2弦、6弦の3本の弦を押さえる、ということを説明した。 しかし、その当時女子が持っているギターはだいたいガットギターで、指盤の幅が広くて、手が小さいと1弦から6弦まで力を入れて押さえることは難しい、という感じだった。 案の定、その女子も諦めたクチだ。 ギターにはどうしてもそういうコードが出てくる。 キーがCのときはFが出てくるし、キーがGのときはBmが出てくる。 このFやBmというのは、例の6本とも押さえないといけないコードだ。 しかし、9割が諦めている、ということだから、実際にはギターのポテンシャルはたくさんある、ということだ。 自ら楽器を始めようと思う人達は、たいがい小さい頃から楽器はやっていない。 始めようと思うのはだいたい中学以降だろう。 いわゆるティーンエージャーになって、音楽に興味がわき、やりたいと思う。 その時に、やろうと思うのはやっぱりギターだ。 とりあえず、コードを覚えれば楽譜が読めなくても弾くことができる。 しかし、なんと9割が1年以内に諦めているという実態。 これは何とかしないといけないと思う。 フェンダー社が小さなギターを売り出したのはそういう戦略もあるのだろう。 弦の長さが普通のギターなら640mmほどあるのだが、それが550mm程度。 圧倒的に押さえやすくなる。 女子向けなのだ。 音の大きさは少し小さくなるが、それほど気にならない。 おまけにエレアコ(アンプをつなげる)タイプだから、プリアンプ兼チューニングメーターが付いていたりする。 チューニングも楽になる。 国内でいうと、ギターメーカーはもうあきらめムード。 もともと少子化で、ギター市場は縮小すると思っているのだ。 ヤマハはまだアコギをやっているが、フェンダーのような取り組みはしていない。 ギターの比率が低いから、フェンダーほどの気合が入らないのだろう。 昔はモーリス(モリダイラ楽器)、ヤイリなどのブランドがあったが、今はあまり見ない。 エレキギターもヤマハは製品ラインを絞っている。 ちょっと前に新製品を出したが、フェンダーやギブソンを追いかけよう、という感じではない。 80年代、90年代あたりはまだ頑張っていたのだが…。 ギブソンが会社更生法適用で、今やフェンダーがギターの大手。 ギターを弾こうとして、1年で諦めた9割をどうやって食い止めるか。 その対策の小さなギターは効果があると思う。 |
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